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倖和(サチナゴム)の妄想小説・・・

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2008年01月11日
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カテゴリ:戦争ゲーム
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↑ちょっと気合いが入ってきました。がんばります!

大国アメリカが没落した後の世界を想像しています……
その御伽噺第250話です。

「私から家族を人生を奪っておいて共和国を立て直すなんてさせるものかと思っていました。私はその思いを主体(チェチェ)に染み込ませて確固とした信念に育て上げました」
 と、女性はいう。
「主体(チェチェ)とは主体(チェチェ)思想のそれだろう? 君にとって主体(チェチェ)とはなにかね?」
 と、加藤がたずねた。

「チェチェとは最高の自分と理解しています。全ての個人が最高の自分を作り上げ、それを信じ切れば、集団の力は最高潮に達する、その社会は確実に繁栄します。素晴らしい理想です。しかし、共和国において残念ながら、その高邁な思想はゆがめられました。全ての人々が最高であるなら、指導者こそ最高の中の最高である、と言う理屈にすり替えられ、その裏で搾取の構造ががっちりと組まれた。そして、無垢な民衆を虐げてきたのです。思想を裏切った犯人はもちろん欲に溺れた高級軍人や官僚、そのトップであったキムジョンイル同志であり、跡を継いだ、あなたキムジョンナム同志です」
 と、女性は表情を引き締めて答えた。一切の妥協など受け入れる余地のないたたずまいである。加藤は深くため息をついた。そして、
「皮肉だな、建国の父の思想を完璧に理解したものに滅ぼされるとは」
 と、いってうつむいた。

「ちがう、私は現実を直視していた。共和国の指導者という立場を越え、朝鮮民族の平和的統一と将来の発展を目指していたのだ。私は最も犠牲の少ない方法を選んだはずだ」
 と、キムジョンナムは反論した。女性を指差して、
「君は結局何百万人という同胞の将来と幸せを叩きつぶし、1億同胞の民族統一を、夢の彼方へと押しやったのだ」
 と、わめくようにいった。

女性は落ち着いている。そして、
「私が生きて返還されてもどのみち中国は攻めて来ました。祖国崩壊の真の原因はキム同志、あなたです。日本の力を利用しようというあなたの甘えた考え方こそ主体(チェチェ)に対する裏切りだったのです。私たち共和国はむしろ中国を主敵として敢然と立ち向かうべきでした。そうすれば日本人も朝鮮民族を一目おいたでしょう。それこそが朝鮮民族の唯一の正しい統一の道だったのです。思想を研究すればそれは気がついたはずです。キムイルソン同志は真の敵を見抜いていた。それが中国です。彼らの覇権主義に対抗するために高い志を思想に織り交ぜた。南朝鮮との領土争いや反日思想でごまかしている場合じゃなかったのです」
 と、決然としていった。

「原理主義者だな、君こそテロリストと何ら変わりない」
 と、キムジョンナムはうなった。

「だが、今は違う」
 と、それまで温和な表情で二人を見つめいていた天皇が口を開いた。天皇は自分の考えを話そうと咳払いをし、食堂にいる一同を見渡した。





続く。












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最終更新日  2008年01月11日 09時40分32秒
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