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倖和(サチナゴム)の妄想小説・・・

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2008年01月15日
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カテゴリ:戦争ゲーム
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↑ちょっと気合いが入ってきました。がんばります!

大国アメリカが没落した後の世界を想像しています……
その御伽噺第251話です。

天皇は近くの椅子に腰掛けた。
「どうぞ」
 と、一同に座るように促した。各々促されるままに自分の近くの席に着いた。天皇は軽く握った両手をテーブルの上に置いた。それからゆっくりした口調で語り始めた。

「彼女の両親は絶望と悲しみの中で死んで行きました。娘を北朝鮮から取り戻すことが出来なかったからです。血の涙を流して死んで行きました。マスコミでそれが報道された時の彼女の辛さはそのような目にあった者でなければ到底理解出来ないでしょう。

復讐のエネルギーは苦しみです。

彼女の味わった苦しみとは、愛別離苦です。愛する者との別れによる苦しみです。もう二度と会えない、という絶望感。自分は何もできなかったという無力感。一切の肉体的な苦しみはないですがその分心のダメージは計り知れない。彼女の心は壊れた。そして無限の憎しみのエネルギーが放出された、あたかも放射能のようにね。

それがこのような復讐劇を生み出したのです。

今回の東アジア大戦は13歳でたった一人、北朝鮮に拉致されてしまった少女の復讐心が原因です。彼女自身が説明した通り、彼女は意を決し工作員になり国の中枢に関わる仕事に従事する、その裏でアメリカに情報を流す。そして祖国を追いつめる。復讐です。その動きを私の機関が察知し、東アジアの再編への動きに利用しました。

政(まつりごと)に必要なのは人の憎悪です。愛ではない。憎しみという感情そのものが政(まつりごと)の風になる。彼女のたった一人の、しかし、底なしであった無限の憎悪の風が、今回の大嵐のもとになったのです。何億と言う人々がその憎悪の嵐に飲み込まれました。典型的な回天(かいてん)です。天をぐるりと回したのです。

このように、たった一人の強い思いから世の中が劇的に変わるということはよくあります。

人間は悲しいかな、憎悪によって前に進むべき生き物なのです。これが天皇家の裏側で伝わる人心の真の姿なのです。善政などと言うのは実はまやかしです。善政をしているときは実は裏で何かが腐敗している。いや腐敗させているのです。だから酒のようにのように時にうまく醗酵してよい味と香りを出す。これが文化と呼ばれるものです。だが、結局は腐敗する。善政の後の、その反動による憎悪はすさまじい。

世の中が変わるときのきっかけは誰かの底なしの憎悪にあります。その憎悪をかき立てるもの、それが愛別離苦なのです。愛するものを奪い取る。これにまさる政治はありません。
これで回天の風が起きる。後はその風にうまく策略・陰謀の帆を張り、新しい大陸を目指して航海する。これが政(まつりごと)です。朝鮮半島は有史以前からその地理的な条件により最も憎しみの風を起こしやすい土地、すなわち政の要地だったのです。選ばれし土地です」
 天皇はそこまでいうと立ち上がり近くのコーヒーサーバーのところまで行って自分でコーヒーを入れた。

その様子を見て加藤は不覚にも涙が出た。総理大臣と言えども操り人形に過ぎない、という自覚はもともとあった。だが、自分を操っているのは世間であり、まさか、こうまで天皇家に操られていたとは正直情けなかった。総理の時のさまざまな記憶が今の天皇の話で繋がったような気がした。

全てが天皇家のしでかした悪巧みのように思う。だが、それは違うのだ。天皇家はその知恵によって、風の動きを良く知っている老練な政(まつりごと)という船の船頭に過ぎないのである。



続く。











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最終更新日  2008年01月15日 10時47分49秒
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