博士のグリーンクローン
博士は暗がりにいた。クククと笑いながら。長年計画していたクローン実験を行う日がついにきたのだ。博士は、緑の細胞の房を使い古したハサミで慎重に切り分ける。今回、実験でつくるクローンは24つ。種となる細胞はだいぶ小さくなるだろう。しかし、すでに成長を見せているものもある。「大きく育てクローン共よ! そしてこの世界を征服するのだ!」博士はクローンをレースのカーテン越しに日の当たる、風通しのいい場所に置いた。実験が成功すればクローンはどんどん成長し増えるだろう。しかし、増えたクローンに征服されるのは、真っ先に博士の実験室、あの日当たりのいい窓辺なのだが、すでに窓辺にはキンカン・サボテン・シュガーバインがそれぞれの領土を主張している。クローンが増えれば土地争いの紛争が起きることは必至だろう。数を増やしてこの狭い部屋を征服せしめんとするクローン多肉植物の思惑。博士は、その恐ろしい思惑に薄々気がつきながらも実験に余念がない。 クローン実験中。 でもこの多肉植物の名前しらないんだよね~。