Second Wind　　嗚呼、くりむぞん

水戸は、予想以上に引いて守ってカウンターという戦術を徹底させていた。

前半は、主に神戸右サイドの攻防。朴、丹羽、栗原らが波状的に大和田、高橋を攻め付ける。
最初のチャンスも右サイドから。前半２分、右から切れ込んだ朴が倒されゴールほぼ正面からＦＫ。
三浦のＦＫは惜しくもバーに嫌われるが、キーパー武田は一歩も動けなった。
そして９分、同じような位置で再度のＦＫを三浦が見事に決める。またＧＫは一歩も動けず。
その後、攻め付けるもフィニッシュまで持ち込めない展開が続く。可能性の低いロングパスや中盤での不用意なパスミス、攻め手を欠いてのバックパスや横パスが散見された。
その展開に喝を入れたのがやはり三浦。前半終了直前、近藤が右から切り込んで得たＦＫを、完璧な形で決める。今度はキーパーも反応したが、届くはずのない位置に決める。前半は攻撃面には不満は残ったが、２－０とリードして折り返す。

後半開始直後、まだ集中しきれていない時間帯に、栗原がいい判断で朴にスルーパス、朴はこれまでいい守備を見せていた時崎をワンフェイクでかわし、ゴール右隅へ蹴り込む。
その後、少し押し込まれるシーンもあったが、中盤からＤＦの距離を狭め、危険なシーンをなかなか作らせない。
後半は左サイドでの攻防が増えるが、攻め込まれても坪内がクロスまで上げさせない。
そして８０分、荻のフィードを相手ＤＦがかぶったところを見逃さず、交代出場の村瀬がゴール右隅に決めて止めを刺す。
終了間際に右からのシュート（クロスかも知れない）を北本があわやＯＧというシーンもあったが、相手ＦＷがコントロールミスをしてくれ、無失点で試合終了を迎える。

荻は危ないシーンは少なかったが、前後半で２回ほどいいセーブを見せた。飛び出しは荻にとっての売りであろうが、少し危なっかしい。フィードも含め、経験と練習を積んで欲しい。（なにげにアシスト数２なのだが・・・）
ＤＦについては、カウンターによく対応できていた。草津戦の教訓が生きているのか。丹羽についてはカードをもらう必要は無かった。カードの前のファールで審判に注意されていたにもかかわらず、直後に同じようなファールを冒すことはない。少し焦りがあるのだろうか。
中盤、小森田は位置取りは素晴らしいと感じた。ただその後の展開に難があるか。
栗原は相手が引いていたと言うこともあるが、いい飛び出しを随所に見せていた。三浦のＦＫ以外でこの試合で一番良い攻撃が、左の近藤からＧＫとＤＦの間へのクロスに栗原が飛び込んだとき。惜しくも数１０センチ届かなかったが、神戸であの攻撃はなかなか見られなかった。
前線については、得点こそ上げられなかったが、近藤と茂木の動きは良い。特に近藤はマークの厳しい中積極的にゴールを狙う貪欲さがある。倒れ方もなかなか上手い。
朴については特に守備についても貢献度は高い。
村瀬は初ゴール。難しいボールを、恐らくキーパーの動きをしっかり見ていたのだろう、倒れながらも見事に決めてくれた。

そしてこの試合、光っていたのはやはり三浦。特にこの日は切れていた。もう一つ決めてくれることを願っていたのだが、ＦＫのチャンスは巡って来なかった。

攻撃面については多少不満もあるが、高い位置でのプレスなど、確実にバクスターの戦術が浸透して来ているように感じた。
徐々にではあるが、勝ち方を学んでいるのではないかと感じた試合だった。