37 *かもめ氏ついに語る、ああ、“あれ”の“あれ”ね(?)
表に掲げられたネオンサイン 、待合室、コート掛け、バインダーに綴じられたタトゥーの見本写真。使い捨ての手袋、タトゥーマシーン。作業中のタトゥーがよく見えるように着用するヘッドルーペ、明るさが調節できる照明。有害物質や先の尖ったものを入れる容器 ・道具を、消毒するためのオートクレーブ減菌。そこに、施術で利用する針とか、積み重ねられたタオル。ダークな雰囲気の店もあれば、芸術家を気取ったような店もあるというし、外国ではタトゥーのお店にコカイン中毒者がってこともあるらしい。僕なりに日本ではどうなんだろうと色々調べてみると、整骨院に毛の生えたような雰囲気の店なんかもあって少し拍子抜けした。いや、一見ワルそうな人が存外礼儀正しかったりするものね。小泉又次郎とかいう刺青大臣もいた。壁に描かれたタトゥーの絵。音響システムから流れるラップに、タンクトップの厳つい男ってイメージはかぶれすぎである。でもあながち間違ってない、刺青はアウトローの代名詞だからね。前にベトナム寺院を調べる時にベトナム料理の店が、実家は超田舎、いま住んでるところは割と都会な僕の周囲に、沢山あることを知って驚いたけど、実はタトゥーの店も結構沢山あるんだと知った。意外な発見から社会の見え方が変わって来るという体験だね。事故物件サイトで周囲に何かあると知った時は、全力で回避させてもらってるけどね。とはいえ、適切な衛生処置を怠ればピアスだって危険だ。消毒剤の匂いのする清潔な香りを信じたい。適切なアフターケアを行うことで、タトゥーの状態を長持ちさせることができるのだから。ところで前に店を開く側の話を聞いたことがあるけど、大阪や愛知で医師法違反容疑の名目で、タトゥースタジオが立て続けに摘発されたこともあったので、役所や保健所、税務署や警察署などに挨拶し、無断で開業したわけではないという実績を記録に取り、打ち合わせ担当者のサインでも貰っておけば、安心して仕事ができるだろう、という話があった。タトゥーっていうと、不器用ですからとかいう高倉健的任侠道、僕の世代的には入れ墨だっていう認識はあると思う。とはいえ、タトゥーだって一生消えない傷を、隠すためにあえてする人だっているわけだし、場合によっては民族意識とか、マフィアとかだけではなく職業的な忠誠を表す場合もある。日本ではタトゥーはまだまだ一般的ではないので、非合法のイメージで周囲の住民に煙たがられても面倒だし、裁判沙汰になってもしょうもない。ちゃんとしているという証明って政治家じゃないけど、地道な選挙活動なんだよ。ちなみに価格帯についてだけど、言い値とかいう意見もあったけれど、コインサイズ:五〇〇〇円〜一五,〇〇〇円。タバコサイズ:二〇〇〇〇円〜三〇,〇〇〇円。ハガキサイズ:三〇,〇〇〇円〜五〇,〇〇〇円。A4サイズ:七五〇〇〇円〜一五〇,〇〇〇円。予約金や針代やデザイン代に別途お金がかかる場合もあるらしいし、凝ったものや、時間に比例するとかいうのを踏まえつつ、正確な工数が読めないという要素もある、ギターでアルペジオを奏でているようなものでもないしね、料金に振れ幅が多少あるという理解はしておいた方がいい。ぼったくられた、と思うようなところで施術しないようにね。自分も相手も得にならないことは回避した方がいい、別に効率厨ってわけじゃないけど。ところで外国の映画にありそうな話だし、玉置浩二とかいう日本の歌手もそうらしいけど、タトゥーに付き物なのは後悔だ。これは整形手術でもそうだけどやっぱり覚悟はしておいた方がいい。後悔するぐらいならいまこの時点でやめてしまった方がいい。失敗だってないわけじゃない。インクが身体に悪影響を及ぼす可能性があるし、多くの人における偏見や差別の対象になることもある。銭湯は入れないしね。外国ではいいタトゥーを見たら、褒めてくれるらしいけど、文化の違いがリアクションの違い。でも最後は結局自分が困る、他人じゃない、僕等は自分にだけは嘘をつけない生き物だって知った方がいい。一か月や二か月はよくても、一年や二年先はどうだろう、消えない傷が一生残るようなものと考えるのは最適解だと思う。将来の体型を考察するというのもあった。長期的な展望は必須だ。ツインタワーを彫ったら以後テロリスト扱いを受けて、最終的にタトゥーを消して、別人の人生を生きたなんていう壮絶な話があるけど、やっぱり生年月日とか、恋人の名前とか、ウェブサイトのURLは、止めておいた方が無難だろう。先進国の中ではアメリカが一番タトゥーに対して寛容だけど、見えるところにタトゥーがあると採用を躊躇すると、六〇パーセントの人事担当者が回答したという調査結果もある。あのね、世の中って結局見えるところだけでしか判断されないっていう、うすっぺらなものなの。日本においてはタトゥーに対する認識は更に厳しいし、タトゥーをしている人を恋愛対象にできるかどうかで、ぼんやりと考えてみたらいい。もちろん一年で消えるエフェラメルタトゥーというのもある。浅く針を入れることと、インクが比較的持ちの悪いものを使用することで、約一年くらいで消えてきく。ただ、確実に綺麗に消えるとは限らないし、逆に気に入っていても綺麗に見えるのは数ヶ月で、あとは長期的な消えかけの状態になる。ちなみに一週間程度で消えるフェイクタトゥーとか、ジャグアタトゥーと呼ばれるものもある。痛くない上に、ちゃんと消えてくれる。タトゥーシールというのもあるけど、皮膚トラブルの元になることもあるので、何をするにしてもまずきちんと調べて選択するようにしたい。ただ、タトゥーに哲学や信念、アイデンティティというものがある場合は、やはりこういうのは邪道なのだろう。タトゥーをする心理はわかるけど、実際にしている人の気持ちにはまったく寄り添えない、だって僕はタトゥーをしていないからね。ただ、奥さんがしていて、別にいいんじゃないかと思ってる。社会生活をする上で何も考えていないというのは偏見だよ、ファッションではない反骨心や、自分を形成する要素なのか、いや、チンチンにピアスをやっているのを見たことがあるけど、それと同じで、凡人の僕にはさっぱり理解できない。いかれているとか、ぶっとんでいるという以外の見方はあるだろう、だって顔面部にピアスするのは理解できるけど、どうしてそんなところにする必要があるのかわからない。説明されてもわからないかも知れない。ね、僕だってレンジが広くて、理解可能という立ち位置や姿勢は崩さないでいたいけど、そうはいっても本当に理解できないこともあるんだ。それをアートという括りでまとめてしまうのは強引か、そうではないのかが僕には判断つかない。物事って軽ければ軽いほど、分析しやすいものだ。AIに質問してすぐ回答を得られる類のもの。でも重ければ重いほど、多面性の社会が見えてくる。ちなみに、レーザーに反応する特殊なインクで、消したい時に消せるものもあるらしい。リスクが少ない、ファッションを楽しむ、という要素は若者には必要だ。そうは言ってもちょっと悪いような感じを気取りたいという若者もいると思う。滅茶苦茶痛いとか、失神するとかいう話もあるらしいから、そういうのを克服して手に入れたいという向きもあるのかも知れない。基本的には施術前に質問を書面で行うらしいけど、タトゥーを入れるのに緊張しすぎて、前日から何も咽喉が通らないという人もいる。御飯はちゃんと食べようね。施術の際に顔色が悪くなる人はよくいるらしいし、僕なら死ぬ気で頑張るところだけど、気絶するところまで頑張るのはちょっと違うような気がする。慣れないことをするんだもの、気分が悪くなることだってあるさ、ただ、救急車を呼ぶ騒ぎにならないように、気を付けられることは気をつけよう。とはいえ、みんなわかってる、やっぱり一定数こういうことは起こるんだろう。ところでタトゥースタジオは、デザインを得意とするか、経歴や実績があるか、インスタやホームページが稼働しているか、値段設定が適切か、話しやすいかだけは確認しておきたい。タトゥーは一生ついてまわるものだから、スタジオ選びは慎重に行いたいところだ。また最後になるけど、タトゥーをする反社会的勢力だと思われ、生命保険や医療保険に加入できない恐れがある。馬鹿馬鹿しい話だけど、テストドライバーとか、スタントマン、潜水夫もそうだし、生命保険の加入の際に制限を受ける職業は結構数あり、格闘家や登山家はなるほどと肯くところだろうが、身近なトラックドライバーもそうだ。