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カテゴリ:本の話
こうの史代の単行本が出ると、なぜか嬉しくなってしまう。
と言っても、今回「さんさん録」を買ったのは発売日からしばらく経ってからなのだが(苦笑) 「さんさん録」は、妻に先立たれた奥田参平(さんさん)が、息子夫婦(詩郎・礼花(れいか)とその娘の乃菜(のな))と同居することになってからの参平の様子を描いた連作短編。 妻が遺した生活の記録を頼りにして「主夫」として家事をすることになった参平なのだが、肉じゃが一品を作るのに5時間もかけたりと、慣れない故の失敗なんかをしながらも充実しつつある日々をすごす様子を描いている。 料理のレシピや掃除の仕方がストーリーの中で重要な要素になっていることもあって結構詳しく描かれているので、一人暮らしの人にもお薦め。 一番気に入ったのが、息子の妻の礼花が実家に戻った時のエピソード。参平が家事をするのだが、毎日の繰り返しに疲れた参平が、 「食うために働き働くために食い 片付けてはちらかしちらかしては片付け… 生きることはなんと無為なのか」 と言ったのに対して乃菜が、 「ならせねばよい 死ぬわけじゃなし」 これ小学二年生の言葉じゃないよ(笑) でもその言葉の後の奥田家は出前頼りの散らかし放題に。最後に礼花が戻ってきたときには3人揃ってコタツでグダグダに。それを見た礼花の一言が、 「…ほうほう 何トドみたいに転げとんな おどれらみなしごうしてお好み焼きに入れちゃろか?」 (標準語訳:なぜトドのようにころがっているのでしょう。あなた方全員きっちり下ごしらえしてお好み焼きに入れて差し上げましょうか?) 強烈な一言です。広島弁恐るべし(笑) 雑誌での連載はもう終了しているそうなので、あと1~2巻程度なのでしょうが、やっぱり次が楽しみです。 そういえば、一人暮らしをしていた時期にYシャツのアイロンを上手く掛けることができなくてクリーニング屋に頼んでたのですが、Yシャツのアイロンの掛け方は、 「キリを吹いて十分ほどおくだろ 袖のぬい目をひっぱってアイロン台に乗せ まずそで口の内側にあてたら ぬい目を合わせて肩に向かってすべらせる えりは左右それぞれ 先端から中心に向けて えりまわりはカーブに沿って 背中は内側からかけるね ボタン周りは袖を引きながら アイロンの先を使ってかける で 最後にポケットね」 …やっぱり、「餅は餅屋」で正解だったということで(笑) さんさん録(1) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.06.11 19:22:32
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