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長編時代小説コーナ

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龍5777

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May 25, 2007
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カテゴリ:暗闘
「油断するな、追っ手は銃で片付けよ」  速水参謀長の命令で追いすがる敵兵

を銃で威嚇(いかく)し、豪雨をついで両隊は引きあげた。  「やったぞ」

「わたしは三名倒しました」  山脇金太郎のはしゃいだ声がする。

「雨の戦闘は疲れますな」  茂吉の横で坂田副長が息を弾ませ駆けている。

「怪我はありませんか?」  「わしは不死身ですぞ」  そい云った途端に足を

滑らした。 「大丈夫ですか」  「何のこれしき」  「武器を忘れないで下さい」

  茂吉が隊士に注意を与える。全身濡れ鼠となり両隊は宇都宮城に帰還した。

「驚いた方々じゃ」  大鳥圭介が大手門で出迎えて隊士を慰労している。

「朝比奈隊長、新選組も真っ青な働き見事です」  土方歳三まで姿をみせた。

「これで借りが返せました」  宿舎で全員が真っ裸となって新しい軍服に着替え

た。  「風邪を引くなよ」  速水参謀長が注意を与えている。

「さあ、皆さん、熱燗でございます」  小者の孫太郎や小三郎たちが湯呑みに

熱燗をいれ差し入れしている。

「これは助かる」  坂田副長が真っ先に湯呑みに手をのばした。

「皆さんご苦労でした。隊長として礼をのべます」

「恐れいります。敵さんはさぞ驚いたでしょうな」  坂田副長が顔を真っ赤にして

いる、まるで蛸入道である。その格好が可笑しく全隊士から笑い声が湧いた。


  東山道総督府は、宇都宮城の大鳥軍の存在に危機感を募らせ、因幡藩の

河田佐久馬隊に続き、陸続と宇都宮方面に兵力を増強していた。

  伊地知正治(いちじまさはる)指揮下の薩摩五番隊、六番隊も壬生に到着し

た。壬生城下は伝習隊と凌霜隊の攻撃で民家が焼かれ、異臭が漂っている。

こうした情況を打開すべく政府軍は、宇都宮城攻略を急いでいた。ただちに

長州軍に使者を送り、宇都宮城攻撃を四月二十三日と決定した。

  大鳥軍は、この政府軍の素早い攻勢を知る由もなかった。その意味でも安塚

戦につづき、後手を踏むことになる。

  大鳥圭介は諸隊の隊長を召集し、政府軍の来襲に備えるよう指示を与えて

いたが、政府軍の動き出したことは知らない。

  翌朝、薩摩兵を主力とした政府軍が壬生から、宇都宮街道を北上し夜明け

前に宇都宮近郊に布陣した。総勢二百名の精鋭であった。

  幕軍の監視も厳しく百メートルに迫った時に哨戒兵に発見された。

「敵兵じゃ」  幕軍は用意の大砲の仰角を調整し、銃隊を散開させ砲撃と銃撃

を浴びせた。猛烈な攻撃に晒されながらも、薩摩兵はひるまず前進し哨戒線を

突破し宇都宮城に迫った。その頃、凌霜隊は朝の兵糧をつかっている最中であ

った。「城外が騒がしいですな」  速水参謀長が不審そうに城外の砲声に聞き

耳をたてている。 「敵襲かも知れません、用意だけは命じて下さい」

  茂吉の指示に、坂田副長と速水参謀長が全隊士に戦闘準備を命じた。

「散々懲らしめた後ですよ、こんな早朝から攻め寄せるなんてありませんよ」

  山田惣太郎が不審顔をしている。  「馬鹿者、常在戦場じゃ」

岡田文造が叱りとばし、脚絆(きゃはん)を巻き直し新しい草鞋に履き替えてい

る。隊士たちも食事をかき込み、一斉に用意を始めた。

「四斤山砲じゃ」  砲術士官の武井安三が厳しい顔でつぶやいた。

「伝令ー」   草風隊の士官が凌霜隊本営に現れた。

「どうかなされましたか」  陣羽織姿の茂吉の顔つきも険しい。

「敵襲です」  「なにっー」  坂田副長が信じられない様子で立ち上がった。

「事態は切迫しております、城の西側の壁まで進出しております。我等は防御線

の内側で銃隊を散開させて防いでおります」 「出動します」

  茂吉を先頭に凌霜隊は小者も含め全員が城の西側に向かった。近づくにつ

れ銃声が耳をろうする。  「敵は薩長が主力でございます」

「とうとう薩長が現われましたか」  茂吉の全身に猛然と闘志があふれてくる。

「朝比奈隊長、救援ご苦労にござる」  村上求馬が出迎えた。

「我等の部署を指示ねがいます」  凌霜隊が指示された壁ぎわに散開した。

  政府軍の兵がじりじりと接近する様子が見える。弾丸の空気を切り裂く音が

不気味である。  「一斉掃射」 茂吉の命令で凄まじい銃声が吹きあがった。

七連発のスペンサー銃の威力はさすかである、敵兵が絶叫をあげ空濠に転がり

落ちる。凌霜隊の銃が間断なく敵兵を薙ぎ倒している。

秘録 凌霜隊始末記(1)へ





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Last updated  May 25, 2007 12:03:12 PM
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