皆様、朗報です。オペラ通の「名古屋のおやじ」さんが、びわ湖ホールで上演されたバーリ歌劇場の「イル・トロヴァトーレ」をご鑑賞になり、感想を寄せていただきました。ご許可を得まして掲載させていただきます。
以下転載です。
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バーリ歌劇場「イル・トロヴァトーレ」@びわ湖ホール
昨日、びわ湖ホールで『トロヴァトーレ』を楽しみました。
想像以上の水準の公演でしたね。
フリットリの降板を残念がる多くの声が、劇場で耳に入ってきましたが、公演の概要が発表になった段階で、少し前から、彼女の名前を主要な歌劇場のキャストで目にしなくなっていたこともあり、キャンセルは十分に予想できたので、私自身はそれほど、がっかりしませんでした。
フレーニは、数回しか聴くことができませんでしたが、その後継者と目されていたフリットリはかなりの数の役柄で、その実演に日本やNYで接することができました。しかも、そのすべてが高水準のパフォーマンス。そのようなこともあって、難役のレオノーラで、失望させられるよりも、彼女の今を聴くことができなかったことは残念ですが、そのキャンセルでちょっとホッとしたところもあります。
代役のソプラノは、ヴィブラート過剰で、力みがちではあったものの、レイラ・ジェンチェルの同役を朧げに思わせるような歌いぶり。弱音の使い方や胸声へポジションの落とし方なんか。
今回のアズチェーナの鈍重な歌については、老女(?)の役だからと、自分に言い聞かせて、舞台を眺めておりました。
大津に出かける決め手になったメーリのマンリーコは期待通り。彼は私たちの時代の「ベルゴンツィ」であると、そのスタイリッシュな歌を聴くたびに思います。
朗々と響く高いCが与えてくれる快感は、たしかに歌を聴く楽しみのひとつではあります。でも、高音にやや難があっても、フレージングに配慮し、美しく歌われたメーリのマンリーコは、私にとって非常に魅力的でした。
ガザーレのルーナは、予想以上。過去に、何度か彼の歌を聴いているはずですが、ほとんど記憶に残っていません。
役柄のせいか、年齢を重ねたせいなのか、今回は、その剛毅な歌いぶりに驚き、魅了されました。そして、カップチッリが得意にしていた諸役を現在の彼の歌で聴いてみたいと強く思いました。
冒頭のフェランドの語りも〇。
今回の公演で、一番びっくりしたのは、オケの好演かもしれませんね。
演奏のキレが良く、アリアを彩るいくつもの管楽器のソロが、くっきりと美しく浮かび上がって、耳になじんだ歌たちが、しばしば新鮮に聞こえました。
これは若い楽員たちと、指揮者の力量でしょうね。幕間に指揮者の名前を改めて確認したら、新国の『ルチア』でも、その音楽づくりに感心した同じ人物でした。
今後、大きな劇場の公演に、その名前を見ることになるような気がします。
公演は十分に楽しんだのですが、大雨でJRが止まってしまい、京阪と地下鉄を乗り継ぎ、いつもの数倍の時間をかけて自宅にたどり着くという、オマケが最後につきました…
(転載終わり)
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「名古屋のおやじ」さま、ありがとうございました!!
ご感想をうかがえてとてもうれしいです。