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カテゴリ:映画紀行
サウンド・オブ・ミュージック・ツアーは、映画のロケ地を巡るツアーであるが、時間は約4時間。ザルツブルグ市内はスキップして、郊外の主要ロケ地2ケ所、そして風光明媚な湖水地方ザルツカンマーグートSalzkammergutを巡る。車内を流れる、音楽はもちろんサウンド・オブ・ミュージックのサウンドトラックである。 2003年10月24日、サウンド・オブ・ミュージック・ツアーは、ミラベル広場を14時に出発する。中央駅でピックアップされた私は、この広場で降ろされ、ミニ・バンを乗り換える。駅から同乗した韓国人ビジネスマンと互いに自己紹介しあったのも束の間、参加するツアーが異なるため、"Have a nice holidays!"と慌しく別れた。 さて、ミラベル広場は、ツアー主催者のパノラマ・ツアーのターミナルとなっており、映画にも登場するミラベル庭園とは道路を挟んだところにあった。背後にはサンクト・アンドーレ教会という名の教会が聳えていて、サウンド・オブ・ミュージックの映画のシーンが描かれた牛も出迎えてくれていた(右写真)。 すでにオフシーズンで、雪景色、さらに交通の便も少なくなっているこの時期である。旅先で殆どツアーに参加することの無い私だが、さすがに自分で車を運転でもしない限り、効率的な旅は無理だった。多少、時間に縛られつつも、ミニ・バンで巡るサウンド・オブ・ミュージック・ツアーは、私にとって、思い出深い、ザルツブルグ休日の出発となった。 サウンド・オブ・ミュージック・ツアーへの参加者は、私の他には欧米人が5、6人だったろうか。オフシーズンのためか少ない。ツアーの最初に、どこから来たのか、順番にツアコンより質問され、紹介させられた。日本人は私1人だけ、他の人達はどこから来た人だったか、忘れてしまった。 当然のように英語のツアーである。ツアコンの案内には、さすがに分からないことも多いが、何せサウンド・オブ・ミュージック・ツアーである。何気に、どこのシーンに使われた場所だ、とか何を言っているのが分かる。そして、ツアコンの案内が無い間は、ミニ・バンの車内にはサウンド・オブ・ミュージックのサウンドトラックが流れる。ジュリー・アンドリュースと子供達が歌う"ドレミの歌"や、"エーデルワイス"、その他、珠玉の名曲に、気分は自ずと映画と一体化していくのであった。 さて、そのツアーのコースである。ミラベル広場を出て間もなくミニバンは、ザルツァッハ川を渡る。市内観光をしている時間は無いので、それらは窓越しである。「あの人だかりの向こうの黄色の建物がモーツアルトの生家です」、などと紹介されるが、それを確かめるのも一瞬だ。 映画の中でジュリー・アンドリュースが子供達と市内を歌い走るが、その景色を思い浮かべ、市内の景色を楽しむ。市内を見下ろす丘や、ミラベル宮殿、教会を出て勇気を出そうと歌い出す、レジデンツ広場など、このツアーでは見ることはない。しかし、映画の中にも見た"馬荒い池"(下写真)、祝祭劇場(コンクールのあった岩肌をくり抜いたホール、フェルゼンライトシューレは見えない)などの前を通り過ぎる。
そして、馬洗い池の背後の岩肌は、ホーエンザルツブルク城もあるメンヒスベルク山(丘と言った方がしっくりくる)である。すぐ傍らには、その岩肌をくりぬいたトンネルがあり、ミニ・バンはそこを抜け、中心部を離れていく。やがて前方に、映画のオープニングで、ジュリーアンドリュースが歌うシーンにも出る、ひときわ高い山、ウンタースベルク山を臨む。 映画のオープニング、丘の上で歌い続けていたジュリー・アンドリュース演じるマリアは、ミサを知らせる鐘の音に気づいて、慌ててウンタースベルク山を駆け下りて尼僧院に遅刻してまう。しかし、実際の尼僧院、ノンベルク尼僧院はメンヒスベルクの端、ホーエンザルツブルク城のすぐ眼下にあり、映画の中の景色とは多少、違うことに気がつく。 しかし、そういうことは映画ならではの演出であり、さほど気にはならない。それ以上に、マリアが、その尼僧院にいたことが事実であり、また映画でもその尼僧院が使われていたことの方が、あとでその地に立ってみて、感慨を覚えさせられたものである。そのことは、また追って述べたいと思う。 一方で、マリアが家庭教師として出向いた、トラップ大佐の家だが、映画で用いられた家は実際のものとは違う。しかも、面白いのは、映画の中のトラップ大佐の家は、玄関側と庭側とが、実は別の建物を用いて撮影されていることだった。そのこともザルツブルグに到着して後、知ったのであるが、このツアーでは、大佐の家の庭側として用いられたレオポルツクロン宮殿が、最初の目的地となる。 そのレオポルツクロン宮殿を池の対岸に臨む場所に、ミニ・バンは最初の停車をした。宮殿の左後方の山の上には、ホーエンザルツブルグ城も見えていた(下写真)。(次回に続く)
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