7年ぶりのアムステルダム(8) 勝手にディスカウントチケットで乗車
5月1日、アムステルダム中央駅買った、ライデン往復のディスカウントチケット(右上写真)。オランダの国鉄乗車券の運賃には、ノーマル運賃とディスカウント運賃とがあるらしいことは、券売機での購入画面から知るのであるが、何も迷うこともなくディスカウントを選択した私である。私の感覚として、それは、あたかも航空会社のホームページから航空券を予約をする際に、いくつかある料金体系から、早割チケットを選択するようなイメージだった。割引航空券の発行枚数が限定されているように、きっとディスカウントチケットも発行枚数が限定されているものだ、と勝手に信じ込んでいた。一応それを選択してみて、購入できたということは、その発行枠内にあったということだろうと。。。後で思えば、そういう説明にもなるのだろう。が、実際、券売機を前にしていた時は、そういう前提のもとに、単に「ノーマル運賃で購入するか?それともディスカウント運賃で購入するか?」という選択肢に対して、「もちろんディスカウント」と反射的に選択していたにすぎない。冷静に考えると、最初から、ノーマル運賃を選択するような人はいないだろうに、何故、2つの運賃があるのか?、とは思いもしなかったのである。アムステルダム中央駅から30~40分のライデンの往復運賃は、1人8.9ユーロ。その券面には、40%オフの表示があったが、随分な割引率である。そして、翌5月2日、同じ要領で、今度はアムステルダム中央駅から約1時間のデンハーグまでの片道乗車券を購入する。1人6.2ユーロ、今度も40%オフである。途中、車内検札が入るが、家内の乗車券を2枚差し出し、何の問題もなく返される(右下写真、中央縦の印字は車内検札)。ディスカウントを選択すれば、ずいぶんとリーズナブルな運賃になるものである。デンハーグでは、キャリーバックを駅に預けると、マウリッツハイス美術館で時間を過ごした。その後、デルフトを往復するのだが、この乗車券をデンハーグ中央駅の券売機で購入する。もちろん40%割引のディスカウントチケット。デルフトの往復乗車券は、2枚合わせて、わずか4ユーロ台だったと記憶している。しかし、このチケットの買い方、ディスカウントチケットを選択していたことが、間違いだったことに、この後、気付かされる出来事が起こる。デンハーグ~デルフト間の乗車券の料金を正確に覚えていないのも、それを没収されてしまうからであるのだが、それはやむを得なくもあり、また一方で、善意的な対応だったとも思えるのである。それは、デンハーグを出発して間もなくのことである。座席の左手後方から車内検札がやってきた。すぐ背後に来たところで、左手で2人分のチケットを差し出した私である。が、差し出した手に検札後の乗車券が戻ってこず、その変わり左背後から、車掌が何か言葉を発してきたのであった。最初、オランダ語で喋るので何と言っているのか分からなかったが、この時、何か問題があろうとはまさか思わない。英語で言い直した車掌が言う、「これはディスカウントチケットだが」。「Yes」と答える私。そして車掌が続ける、「あなたはディスカウントカード(だったと思うが)を持っているか?」。そこで「No」と答えた私は、チケットに掟があることを悟る。さらに続く。車掌「このチケットはディスカウントカードを持っていないと買えない、ということをあなたは知っているのか?」、私「Oh,...I didn't know.」、車掌「ディスカウントカードは年会費○ユーロ支払って購入し、それを持つ人がディスカウントチケットを購入できるのだ」と。一瞬の間をおいて私「Oh,realy?」。車掌が言う、「本来であれば、ディスカウントカードを持たずに、このチケットを買うとペナルティが課せられる。」。そこで、すかさず私が言った、「So what do I do?」と。一瞬考えたようだった車掌は、「デルフトからデンハーグへは、明日、戻るのか?」と。私「今日中に戻る」。そして車掌「今回の場合は、さらに7.xxユーロ(と言われた気がする)を追加で払う必要があるが、ここは私がこのチケットを貰っておくので、それでいい。そして復路は、デルフト駅でノーマルチケットを買うように。」と言われたのである。それに私も了解して頷くと、車掌は他の乗客の検札へと、去っていったのであった。ほどなく到着したデルフトでの降車口で、再びその車掌と顔を会わせた私は、一言"Thank you!"と言い残すと、その電車を下りたのであった。 異国の地とは言え、『郷に入れば郷に従え』。外国人だからといって、何も知らなかったというのは、いつも理由にはならない。しかし、この時の車掌は、私達が本当に知らずにディスカウントチケットを手にしていたことを察してくれたように思うのである。また、指摘されたのが、近距離でチケットが安い区間だったことも幸いしたのかもしれない。もし、これがアントワープへのチケットだったら、同じ結果にならなかったかもしれないからである。上にも記したが、よくよく考えると、誰でもが券売機でディスカウントを選択して乗れるのであれば、ノーマルをわざわざ選択する人もいないわけである。デルフトの街を歩いている間、そんな事を考え、そして車内での出来事が何度も甦ってくるのであった。良心的な車掌に感謝、そしてまたオランダのルールを学ばされたのである。最後に、余談である。デルフトからの復路の切符は、この日の最終目的地アントワープまで買うことにして、チケットカウンターで購入した。行き先を告げると、窓口の女性が言った、「Do you have discount card?」と。もう迷うことはない、即座に「No!」と答えた私である。そして、購入完了後、また一つ新しい発見をする。それは、窓口で乗車券を購入すると、券売機で購入するよりも高いということである。乗車券に加え、手数料3.2ユーロのレシートも付けられていた。