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カテゴリ:映画紀行
だいぶ間が空いたが、再び、サウンド・オブ・ミュージック紀行、ザルツブルグの旅の思い出を書いてみようと思う。『サウンド・オブ・ミュージック』といえば、我が人生の師であり、勇気を与えてくれた映画。その舞台となったザルツブルグは、いわば聖地でもあるが、そのことは以前にも書いた(こちら)。 そこを初めて訪れたのは、2003年10月。それは、パリ駐在の2年間もあと数ケ月で幕を閉じようかという時期であったが、この時、2泊3日でザルツブルグを訪れた事実は、私の旅行熱を呼び起こした。映画から勇気を貰ったのと同じように、この時の旅で、身も心もふっ切れた私は、それまでの失われた時間を取り戻すかのように、帰国までの限られた時間、東欧、旧東独、オーストリアを中心に精力的に週末旅行を繰り返す。 さて、ザルツブルグで出会った、サウンド・オブ・ミュージックの景色については、これまでも何度か紹介してきたが、ザルツブルグ市街地については、まだ殆ど触れていない。初めてザルツブルグを訪れた日、『サウウンド・オブ・ミュージック・ツアー』でザルツカンマーグートを訪れたが、市街地を歩くのは、2日目のこと。この日、ミラベル庭園(右上写真)を始めとして、丸一日、ザルツブルグ市街を堪能する。 実は、この時、初めてオーストリアの地を踏んだ私である。当時、ザルツブルグは、映画を通して馴染みの町とは言え、あくまでもそれは、約40年前の映画を観て作られた自分の中のイメージにすぎない。ヨーロッパ滞在中、痛い目に遭ってきた経験もあり、初めてザルツブルグの土を踏む喜びの一方で、決して油断はならないという緊張感は常に持ち合わせていた。 そういうこともあり、この時、市街地の主要スポットから離れた、駅近くのルネッサンス・ホテルを予約し、早々にチェックインする。私の場合、大体において、初めて訪れる町での初日は、ある意味ウォーミングアップをする。特に、夜の一人歩きについては初日は控え、心の準備が出来た2日目に精力的に歩き回るケースが多い。美しい夜景の写真を撮るのも、実は大体において2日目である(例外は、2003年末、一夜限りのドレスデン(こちら)くらいだろう)。 さて、初めてのザルツブルグは、到着早々、ツアーに参加したおかげで、空気に慣れると共に、バスが市街地を通り抜けたことで市街地歩きの下見を兼ねることも出来た。おかげで、一夜明けた2日目は朝から精力的に歩いた。天気も、前日、雲が垂れ込めて山々の輪郭さえ分からなかったのが、うって変わって晴天に恵まれる。しかし、町のそこここには、直前週後半の降雪が残り、晴天の中にも冬を感じる、そんな陽気であった。 この日の朝、ホテルから暫く歩くと、ミラベル宮殿をかすめ、ミラベル庭園を見渡す場所に着く。ミラベル庭園は、映画の中で、マリアと子供たちが、「ドレミの歌」を歌い、駆け巡るシーンでも有名だが、そのフィナーレとなるシーンが、まさにそのミラベル宮殿から見渡す景色である(下左写真)。この日の朝、庭園のお花畑は雪で真っ白に覆われていたが、映画同様に遥か後方には、ホーエンザルツブルク城を臨んだ。 ここからザルツァッハ川に出て、朝の河畔を歩き、そしてメンヒスベルの丘へ登ると、ホーエンザルツブルク城まで山歩きする。そして、丘から旧市街地に降りると、聖ペーター寺院、レジデンツ、大聖堂、馬洗い池、モーツアルト橋、等々、映画の中で観たシーンを辿り、1日の最後に、またミラベル庭園に戻ってきたのである(下右写真:奥の噴水の周りをマリアと子供達も駆けた)。それは、ミラベル庭園に始まり、ミラベル庭園に戻る約8時間コースだった。この日の好天で、朝方、庭園のお花畑や芝生にあった雪も、夕方にはだいぶ溶けていた。
この日の夜、ホテルの自室で、パリの自宅宛に手紙をしたためる。 -------------------------------------------------- 03年10月25日夜。今日は良く歩いた。10時から18時まで。足が棒とは、まさにこのこと。でも、時間が全然足りなかったね。念願のザルツブルグ。全く頭から離れていたけれども、やってきました。サウンド・オブ・ミュージックのサントラを聞きながらのツアー、楽しかった。しかし、寒かった。雪化粧だけど、紅葉に薄化粧という感じが美しかった。また、サウンド・オブ・ミュージックを見るのが楽しみだ。緑いっぱいの夏に、また来れるといいな。その時は、映画と同じ色が見れるだろう。惜しみながら、明日は早く、ミュンヘン、そして午後にはパリ。また、現実に帰ります。 -------------------------------------------------- 旅先から自宅に手紙を書くことは、私が尊敬する会社の上司を見習って始めたのであるが、この時、当時日本にいたその上司へも、「サウンド・オブ・ミュージック」のポストカードで、手紙をしたためた。旅先で書く文章というのは、気持ちが開放されていたようである。毎日のように、その上司に仕事で苦悩するメールを発信していた、その私の文章とは、全くトーンが異なっていたことに、その上司は安心されたかのようだった。「いつもの○○と全然違う」と言われたのが、今でも印象に残っている。 この時の手紙で書いた、ザルツブルグ再訪への願望であるが、帰任する直前の1月に再びやって来る。この時は、旅先のミュンヘンから、思い立って、日帰りした。そして、さらに帰国して後の2006年5月、今度は家内を伴って訪れ、4泊したのであるが、この時の記憶は、また追い追い語ることにする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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