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テーマ:詩&物語の或る風景(1046)
カテゴリ:貸室あり
「なにを馬鹿な」 杉本は血を吐きながらも、笑顔をつくった。 「刑事さん、ごまかされないでくださいよ。私はただ、彼女があんまり失礼なことをいうんで、ついかっとなっただけで…それに手錠なんて、逮捕状もとってないくせに、人権侵害だ」 「彼女がお前に何を言おうと、これは殺人未遂の現行犯だ。ここの防犯カメラに写ってるはずだ。忘れるほど、のぼせあがったな」 宮蔵は言った。その声は、震え上がるくらい厳しかった。 美雪は山奥の膝から起きあがり、杉本をにらみつけた。 「確かに失礼なことをしたわ。あなた、ウソばかりつくんだもの。あたしも、ウソを言ったのよ。総サマ、おとといは売り場に来てない。だけどどうして、そんなに怒るの?死ぬかと思った」 彼女はむせながら続けた。 「この3ヶ月間、だれも街中を遊ぶ総サマの姿を見ていない。山奥さんやスナックの人たち、あたしや、デイドリームの従業員も。そして、あなた自身もね」 美雪は口に手をあてて血をぬぐう店主の姿を見た。 (さっき顔に落ちてきた液体はこれだわ) 「あの人は遊び人だけど、役所勤めだし、それなりに常識ももっているの。お父さんが亡くなって3ヶ月、夜遊びをやめているなら、彼岸の直前なんて、なおさらできない。もっとも、おっといの晩、どこにいたかは判らないけどね」 美雪はさらにつづけた。 「なのに、さっき村本さんの話を持ち出したとき、あなたはわざわざ、いつものハデな服を着てたと言った。刑事さんにもそう言ったのね。もうこれは、事件に絡んでいると確信して、わざとウソをついたの。そしたら、あなたは逆上した。…これ以上の自白はない。ピッキング防止器の話も、口からでまかせ。今夜マンションで、あたしをうまく始末したら、こんどはどこに死体を隠すつもりだったの?」 杉本は美雪をにらみあげ、宮蔵に猫なで声で話しかけた。 「ウソですよ、刑事さん…。この人は少しおかしいんじゃないか。真に受けないで下さいよ、ほんと胃が痛くなるようなことばかりだ」 彼はまた営業用の笑顔を作ったが、その小さな眼は笑っていなかった。 「おまえの言い分は、後でじっくり聞かせてもらう」 宮蔵は言い放った。 杉本は肩を落とした。 カウンター内の、修理用に預かった靴を並べた棚に寄りかかった。 山奥は、何年も同じ並びで店を営業してきた鍵屋の店主を眺めた。 「なあ、このタヌキ小路では、裏でなにをしようと、皆、たがいに迷惑はかけないって掟があったよな。それを、何考えてんだよ」 悔しそうに唇をかんだ。 <つづく> ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 今日は起きるなり目がかゆくって、さっそくプロポリスを飲みました。 まだ、花粉症ではないはず・・・なんだけど、毎年少しずつ症状が出てくるような気がします。 その分、春先のようなお天気でした。 買い物に出かける途中で、ご近所の犬をパチリ。 昼間、はじめて見ました。 カメラ目線 座っているのは、かんなくずのようなものが入っている袋の上です。 ここが暖かいのかな?気持ちよさそう 空では、2羽のトビが廻っていました。 ケータイカメラで、1羽を撮れました。 やっと姿がわかるくらいです。 空の青が濃く、風もあたたかく、まだ2月だということを忘れてしまいました。 つい気分が浮かれ、ATMでロト6を買ってきた。 私には、このごろ末等も出ていないロト、そろそろ何か当たって~~~w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 22, 2007 05:46:20 PM
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