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カテゴリ:音楽
1. どぉなっちゃってんだよ
2. カルアミルク 3. (E)na 4. 家庭教師 5. あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう 6. 祈りの季節 7. ビスケットLove 8. ステップUP↑ 9. ペンション ■禁断の傑作である。アスリートがステロイドを服用したことによってそのタイトルを剥奪されることはあっても、芸術家が禁止薬物を使用したことで取り消される名盤はありえないのではないか、なんて思っている。ただしその傑作の名に免じて彼らは罪を償わなくても良いのだと言っているわけではない。 ■現在服役中の彼だが、この作品制作時に違法なアプローチがあったのかどうかは知らない。当時の彼に湧き上がるアイデアは泉のようでリズムにしろ歌詞にしろ羞恥心をどこかのビルに置いてきてしまったかのようにやりたい放題。むしろ寡作化が進んだ90年代後半あたりから彼が自分の心のストック以外の方面から何らかのヒントを受け取っていたとみるべきかも知らない。 ■M1やM3のようなファンクなサウンドにうまくのっかった日本語の歌詞は岡村靖幸ならではという感じがする。どどどどーなっちゃってんだよ♪どどど・・・。かっこいーな、あれいいな、これいーな、欲しがってんばかりのベイベー♪・・・。いずれも歌い終わった後のイエィとかアウとか言うシャウトまで含めての一連の流れが脱歌謡曲的であり、脱ポップス。 ■ノリがいいんだけど、今までにはなかったようなうねりみたいなもの。それは靴墨を顔に塗りつけて歌わなければならなかったその種の先輩たちとはちょっと違った彼の中に染みついていたものとしての表現だったように思う。 ベランダ立って 胸を張れ (M1) どんなものにも 君にかないはしない (M2) 本当に大事なキスなら 僕しか販売してない (M3) 来週の参観日にまにあうように 宿題しなベイベー (M4) 汗で滑るバッシュ まるで謡うイルカみたいだ (M5) Sexしたって誰もがそう簡単に親にならないのは赤ん坊より愛しいのは自分だから(M6) いちゃいちゃするのは大好きさ(M7) 僕はステップアップするため倫社と現国学びたい(M8) 仇名から「さん」づけ読みへの距離を測れないなんて(M9) ■M4はここまで私的な妄想を曲にして世間に発信できるのか、ちょっと引いてしまうようなエロリビドーにあふれていて、この人の精神状態を多少なりとも疑ってしまう。それは漲る自信のあらわれなのか、厚顔(違う字を当ててしまいたくなる)無恥のなせる業なのか。隠微と言うよりは笑っちゃうような学芸会。赤羽サンシャインに行って確かめてみたいと思ったファンは当時たくさんいたのではないか。 ■共感と言うよりはここまでやるか、あっぱれみたいな気持ちでこのアルバムを繰り返し聞いていた。言葉がわからない外国の人が聞いてもそこそこ感心できる内容なのではないか。この「家庭教師」と長いインターバル後の次回作「禁じられた生きがい」が彼のピークだと思う。 ■ただ結局誰のために音楽やっているのかという問に対して最後まで岡村靖幸はわからなかったのではないか。倫社と現国学びたいという言葉は虚しい。本当にそれを学ぼうとしていたら今の彼はなかったように思う。結局ただビートにのせて歌う言葉が欲しかっただけだったんだな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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…最後まで岡村靖幸はわからなかったのではないか…結局ただビートにのせて歌う言葉が欲しかっただけだったんだな。…今はどうお思いでしょうか?時を経て、どんな感想をお持ちになるのかお聞きしてみたいです。
(2021/05/03 01:02:40 PM)
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