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テーマ:お勧めの本(7258)
カテゴリ:読書
<文庫・新書編>
第10位 「アップルの人」 宮沢章夫 (新潮文庫) マック雑誌に連載されていたエッセイなのに、コンピュータの話は前フリに過ぎない。どうでもいいことの周辺をさまよっているうちに、なんかすごく深遠な世界に連れて行かれそうになる。(ような気持ちにさせられてしまう)これが初めての宮沢本の方は傑作「牛への道」へどうぞ。 第9位 「バスジャック」 三崎亜記 (集英社文庫) カフカ的な理不尽さと星新一のようなアイロニー。7つの短編。個人的には「となり町戦争」より好きだな。そういう世界が好きか嫌いかでノレるかノレないかは決まるが、わたしは読み始めたら身体がノッてしまう方だ。「鼓笛隊の襲来」は今手元にある。 第8位 「人生ベストテン」 角田光代 (講談社文庫) ベストテン好きと角田光代好きにとっては外すわけにはいかないでしょ。今年もこの人の文庫化された作品はほとんど読んだ。そのうち角田作品ベストテンでもやってみよう。きっと1位はいまだに「空中庭園」なのだけどね。 第7位 「象を洗う」 佐藤正午 (光文社文庫) 昨年の「ありのすさび」に次いでこのエッセイの文庫化もうれしかった。そろそろ来年あたり短編集が出るくらい作品はたまったのではないかと思うが、どうか。この人のエッセイって、DVDについている作者自身のコメンタリーみたいな気もする。 第6位 「本当はちがうんだ日記」 穂村弘 (集英社文庫) 新刊でこの人のエッセイを読んでから3年が経つわけか。「世界音痴」「にょっ記」などが続々文庫化されれば、またきっと買ってしまうと思う。だって、夜寝ころびながら、ベッドの中でクスクス笑いながら読んでこその穂村弘だからね。でもわたしはお菓子なんか食べながら読まない、オトナだから。 第5位 「4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する」 杉山茂樹 (光文社新書) 全てのサッカーファンはこの戦術論に目を通すべきだ。この夏、ユーロのスペインの快進撃をこの本を読みながら分析してみた。わたしはつくづくこの4-2-3-1の「2」の位置に着くフィールドプレイヤーが好きなんだなぁと実感。でもね、戦術を語る以前に個の力なんだよなぁ、世界は。 第4位 「空飛ぶタイヤ」 池井戸潤 (Jノベルコレクション) 大企業小説と言うよりは町工場みたいな中小企業のおじさんたちが奮闘する物語。読んでいてあちこちで胸が熱くなった。こんな世の中だから余計に浸みたのかもしれない。(サッカーじゃないけど)大企業だって、町工場だって、結局は個の力なんだよなぁ、日本も。 第3位 「野ブタ。をプロデュース」 白岩玄 (河出文庫) 遅ればせながら、今年この連ドラにはまりました。亀梨・山P・堀北の三人の物語の切なさにひどく感動した。原作を読んで、その設定の違いにちょっとビックリ。これはこれでもちろん鋭い小説だと思うが、あんな風に脚色した木皿泉の手腕にあらためて感服した。 第2位 「きみの友だち」 重松清 (新潮文庫) 初期の「ナイフ」とか「エイジ」と比べれば、最近の重松清にはこの分野(学園生活スケッチ)における熟練の技を感じる。姉と弟の物語が時間を超えて交互にクロスされた連作集は読み終えた時にひとつの大きな人間讃歌になっていた。この小説を含めて今年だけで重松原作の映画化が4本! 第1位 「空の中」 有川浩 (角川文庫) 「陸」「海」「空」の自衛隊三部作を一気に読了。頭の中には民生の「愛のために」がいつも流れていた。その中でも今年文庫化なった「空の中」はど真ん中のストライク。ウルトラQとETとラブコメと。空飛ぶ白鯨ですよ。女性パイロットと管理官、高知の男の子と女の子、どちらの話にもうっとり。大好きな作品です。 <新刊本編> 第10位 「悼む人」 天童荒太 本当は作者がこの少年に託したメッセージをまだ理解できていない。人の死を悼み続けることが生へのエネルギーに成りえるのだろうか。好きだとか嫌いだとかでは、片づけられない小説のような気がする。 第9位 「東京島」 桐野夏生 実際に似たような事件(無人島に何人かの男たちと女性ひとりだけが流れ着く)が世界史の中にはあったという。現代の東京にそれをなぞらえて膨らませる話が面白い。オトナのためのバトルロワイヤル的コメディ。 第8位 「夏から夏へ」 佐藤多佳子 北京の決勝で朝原にバトンを渡した後、その後ろで何か叫んでいる高平君の表情が忘れられない。「一瞬の風になれ」の作者だから許された長期取材。でもこの本が発行されたのは北京五輪の真っ最中だった。つまりそこに辿り着くまでのリレーメンバーたちの物語。 第7位 「聖女の救済」 東野圭吾 ビックリしたのは「流星の絆」も今年刊行だったこと。ということはまだまだ文庫化は先か。宮藤さんのアレですっかり名作に見えてしまうが、ガリレオシリーズのこっちの方が出来は良いと思う。すっかり柴咲コウも定着しているしね。 第6位 「ラットマン」 道尾秀介 エアロスミスのコピーバンドのメンバー4人が主人公。コピー(真似っこ)と騙し絵がこの物語のテーマにもなっている。ロックバンドの話の割りには少年少女向きではないのが意表をつく。意表をつくといえば最終章における大逆転。途中で止めるのは絶対もったいない小説。 第5位 「PLUTO 06」 浦沢直樹 NHKの爆笑問題の番組で出てきたロボットを創る教授たちの熱っぽさはなんだ。それが人間に近づけば近づくほど、そもそも頼もうと思っていた労働までも言い出しにくい雰囲気にさえなってしまうところが妙だ。ともあれ、最終回まであと何年かかるか教えて欲しい。 第4位 「告白」 湊かなえ とにかく第1章の女教師の告白がすごい。それだけで完結する話でもあるのに、さらに語られる周辺人物の独白もまた物語を複雑にしている。そして誰も今まで書かなかったような結末。ある意味爽快ですらある憎しみの行方だった。 第3位 「太郎が恋をする頃までには・・・」 栗原美和子 フィックションの形をとったノンフィックション小説。歴史とか勇気とか人生というものについて考えさせられる。できるだけ多くの人に読まれたがっている本だと思う。この後、田中優子教授の「カムイ伝講義」も読了。 第2位 「阪急電車」 有川浩 宝塚駅から西宮北口駅までの8駅間を往復する電車内で起こる様々なストーリー。主役は各駅ごとに交代し、やがて電車が戻ってくる頃には、成就した恋も、成し遂げられた復讐もある。窓越しに見える街の灯は「人」に見えたり「生」に見えたり。うまいよなぁ。 第1位 「モダンタイムス」 伊坂幸太郎 読み終わってずいぶん経った今では、けっこう「ゴールデンスランバー」と混同している。暗殺者と疑われた彼がパソコンである事件を検索する話ではなかったっけ。要はその世界を楽しんだ者勝ち。伊坂を読んでいる間、わたしは決してつまらないことは考えないようになっている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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