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カテゴリ:映画
■リアル松本幸四郎ファミリーが見送る視線の先は北海道からひとり東京に旅立つリアル娘の松たか子。この時は駅員だったリアル勉さんに邪魔されて肝心な「いってらっしゃい」や「気をつけて」や「電話しろよ」なんて別れの言葉は言えずに電車は出て行ってしまうのだけど。
■満開だった桜が散る。引っ越し屋のトラックも花嫁を乗せるタクシーもワイパーなしでは前が見えなくなるくらい豪雨のように桜の花が散る。ちょっと外に出て荷物運びを手伝っただけなのに彼女のパーカの中にもたくさんの花びらが積もる。私もまたその一枚になれたとしたらどれほど幸運だったろう。 ■4月に見るための映画としてはベスト3には入る。これから始まる新しい生活、家具はどこに置こうか、明日は何を着て学校に行こうか、どんな部活に入ろうか、そして最初に仲良くなれそうな人は誰か。 ■新しい土地でひとり見る映画はできれば恋愛ものがいい。でもなぜかこの街では時代劇しかかかっていない。しかも周りはちょっと危ない人ばかり。今度はきっと二人で来よう。今度はもっと見る映画を選ぼう。 ■それでも彼女にはこの新しい場所に旅立つ目的がはっきりとあった。憧れの先輩が選んだ場所はこの武蔵野。それが地名だということは後で知ったことだが、つぶやくだけでときめく魔法のような言葉、むさしの。 ■先輩の働く本屋で彼女が手に取ったものはおそらくサリンジャーの「ライ麦畑」、気がついてくれたら死ぬほど幸せだけど、もしそうならなくてもまた明日来ればいい。 ■突然降ってくる雨はとても迷惑だけど、時と場合によってはそれが天からのプレゼントに思えることもある。先輩が貸してくれた真っ赤な傘、たとえその骨が折れていたとしてもそれでいい、いや、それがいい。 ■胸キュン映画ベスト3には入る。60分ちょいという短編ながら、ここに収められた松たか子は永遠である。そして私にとっては彼女が傘を借りた相手としてワンシーンだけ登場する加藤和彦氏の姿が忘れられない。彼もまたこの映画によって永遠になった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/04/11 10:42:56 PM
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