テーマ:最近観た映画。(39155)
カテゴリ:映画ログ
ベツレヘムという街はエルサレムから10キロほど離れた街で人口3万、大きなビルこそないが、中心部は住宅が密集して、賑やかだ。今はパレスチナ解放自治区に入っている。ここに住む17歳の少年サンフールの物語だ。最近、イスラム過激派というと、かなり印象が悪くなっているが、ここパレスチナでは対イスラエルのアラブ人組織は今に始まったことではなく、歴史は古い。二つの名前の組織が登場するが、その一つはエルサレムで自爆テロを決行し、エルサレム市民が数十名死んだ。犯行声明を出したのは組織のリーダーでサンフールの兄のイブラヒムであった。イブラヒムの身はイスラエル警察の追うところとなり、彼は地下に潜伏した。イブラヒムと連絡が取れるのは弟のサンフールだけ。毎週、木曜日にあって活動資金を渡していた。サンフールの身に悲劇が起きる。
実はサンフールは兄には忠実で信用できる部下であったが、片や敵イスラエルの情報部のスパイでもあった。なぜこんな複雑なことに?訳は後でサンフールが泣きながら告白するが、選択の余地のない結果だった。サンフールとつながるイスラエル情報部のラジはサンフールの人柄をよく知っていて、身内のような愛情を抱いていた。連絡役の弟をたどってアブラヒムを逮捕せよとの署長命令が出てラジは行き詰まってしまった。 丁度サンフールは地元の悪童と肝試しの撃ち合いをやって腹に怪我してしまう。彼は10キロ歩いてエルサレムの病院に行き、ラジに連絡を取った。厳しい父にバカな肝試しで怪我したというと叱られるからだ。そしてラジは思いついた。このまま木曜を通過させよう、怪我が分からなくなるまで、ヘブロンの叔母の家に行ったら良いと、サンフールに教唆した。こうしておけば金を受け取りにアブラヒムは自分で出てこざるをえないし、サンフールを巻き込むこともない。そしてイスラエル警察軍はアブラヒム逮捕に向かった。 アブラヒムがいよいよ待ち合わせのマーケットに現れるところはスリル満点だ。長い闘争生活でやつれ顔のアブラヒムが現れた。たちまち追手が彼を追う、彼はある家に逃げ込んだが、その家は四方を壁に囲まれた出口にない家だった。中2階の暗い屋根裏に上がって身をひそめるアブラヒム、下の部屋の戸口に見える狙撃兵、壁の穴から手りゅう弾を投げ込まれアブラヒムは絶命した。アブラヒムの遺体を二つの組織が取り合うなど、パレスチナの複雑さがうかがえる。老父はいかに殉教者といわれても嘆いた。サンフールは急いでヘブロンから駆け戻ったがすべて終わった後だった。 もう、パレスチナ、イスラエル問題の奥の深い怒りや恨みがあちこちに噴出して見ていても、心苦しくなるくらい。この後の顛末も、語りたくないほど悲しい。復讐の連鎖が増えるほど、深い傷跡が増える。日本人からは遠い出来事のようだが、この物語でパレスチナの問題を少しでも多く知ることができた。 (おまけ)イスラエル警察軍が解放自治区に入ると、、、何しに来たか察した群衆がばらばらと集まってきて、軍の車に投石を始める。防弾ガラスの丈夫な車だが、車外の兵士は投石の直撃を受けた。イスラムの組織の要人を逮捕に来たと分かると、市民の方から銃の発砲が起きてイスラエル兵士は倒れた。「早く終えて撤収しろ!」と本部は躍起になっていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.02.04 12:26:00
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