退職金と貯蓄を充てても
3000万円で住宅購入は無謀ですか?
■相談者
誠実な男さん
男性/公務員/56歳
岩手県/賃貸住宅
※おいおい、岩手の公務員なら
うちの事務所に相談しなさいよ。
■家族構成
妻(58歳/専業主婦)、長男(※独立別居)
■相談内容
退職間近の今から住宅ローンを組んで
土地住宅を購入するとしたら、
借入金はどれくらいまでなら可能でしょうか。
60歳で定年退職。年金は65歳から。
再雇用の予定はありません。
5年間の無収入期間ができます。
退職金は2000万円見込み。
生涯借家の予定でしたが、
今になり新築が可能であればと
考えています。
土地700万円(60坪)、
家本体2300円(床面積30坪弱)、
借入金3000万円の見積もりを
住宅メーカーから得ていますが、
実現可能でしょうか。
※なんだ、これは!
こんな金額をすなおに
受け止めるところから、
生活設計の間違いが始まる。
30坪弱の家がなんで
2,300万円もするんだ!
きちんと業者比較をすれば・・
適正価格は1,700~1,800万円
だということが判明する。
おそらく営業マンが大勢いる
よく知られた展示場出展業者
だと思われるが・・
最初から業者を決めてかかると、
こういうことになる。
このままだと、
5~6百万円も損をして
スタートする生活設計になる。
生活設計は建築業者比較から
始めるよう・・ 心がけよう。
最初からやり直し!
うちへ来れば、マイホーム取得の
実行支援をしてあげられるんだけど。
個人年金と退職金を
全額住宅につぎ込んでよいものか、
老後の生活が年金だけで大丈夫か
気になります。
※まず、5~6百万円を
取り返すのが先決だ。
■家計収支データ
■家計収支データ補足
(1)「保険料6万2000円」の内訳と保障内容
・夫/終身保険(死亡保障841万円)
=保険料0円(一時払い)
・夫婦/団体生命保険
(夫/死亡保障2400万円、
妻/死亡保障800万円)
=保険料1万3970円
(※契約期間=夫2026年、妻2013年)
・夫/医療保険(終身保障、入院5000円)
=保険料7210円
・夫/勤労保険(死亡保障1000万円)
=保険料3510円(※契約期間=2025年)
・夫婦/生命共済1
(夫/死亡保障500万円・入院5000円、
妻/死亡保障1000万円・入院5000円)
=保険料9209円
・夫婦/生命共済2
(夫/死亡保障・年額37万5000円×12年間、
妻/年額77万円×3年間)
=保険料9833円
・夫婦/がん保険1(入院/夫1万5000円、妻1万円)
・夫/がん保険2(入院1万5000円)
・夫と長男/がん保険3
(夫/がん通院1万円、長男/入院1万円)
3本合計の保険料1万4794円
・長男/医療保険(入院1万円)
=保険料3710円
※よくもまあ・・こんなに。
50代夫婦にこれらはすべて不要だ。
ま・・30代だろうが同じことだが。
すべて解約すれば、
解約返戻金は入るし、
月62,000円の出費も無くなる。
家計は大幅改善される。
(当たり前)
(2)公的年金の支給額について
夫・月額19万9700円、妻・月額4万円
※十分に生活していける。
何の心配もいらない。
■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1
住宅コスト3000万円はリスクが高い
アドバイス2
2000万円の物件を現金で買うという選択肢も
アドバイス3
保険を思い切って見直してみる
アドバイス1
住宅コスト3000万円はリスクが高い
ご相談の、土地と建物で3000万円の
住宅購入についてですが、結論から言いますと、
結果的にリスクの高い住宅ローンを
組むことになると考えます。
現在の預貯金2350万円のうち、頭金+諸経費
(登記費用、印紙代、
引っ越し費用、家具家電の購入など)
として2000万円を住宅資金とします。
諸経費を100万円とすると、
実際の借入金は1100万円となります。
それを金利1.5%の5年固定で借り入れた場合、
毎月の返済額は約19万円、年間約228万円。
対して、
現在、年間で貯蓄できているのが210万円。
それを全額返済に回し、加えて、
持ち家となれば家賃がなくなりますので、
その分=年間42万円が返済に回すと、
収入を得ている60歳までは手元に残した貯蓄
(350万円)を取り崩すことなく返済ができます。
返済開始をちょうど57歳からとすると、
3年後に退職金2000万円を受け取りますので、
60歳以後はその年金を支払いに充てる
ことになります。
住宅ローン残高は60歳の時点で450万円ほど。
仮に退職金で全額支払えば、残る退職金は
1550万円。
貯蓄の残り350万円と合わせて1900万円で、
老後の生活費の不足分がカバーできれば、
無理のない住宅ローンと言えるでしょう。
では、60歳以降の家計はどうでしょうか。
60歳~64歳までの5年間、
再雇用の予定がないということですので、
無収入の期間となります。
この間、現在の生活費から家賃分を差し引いた
月額29万2000円を毎月支出していくと、
5年間で1752万円。
奥様は月額4万円の公的年金を、
ご主人より約2年早く受け取れますが、
その分を加えても、残る預貯金は200万円強。
その間、要介護になるなど、
不測の大きな出費が発生すれば、65歳を前に、
生活資金がほとんど手元に残らない可能性も
あるのです。
※まあ・・業界の人のアドバイスです。
適度に老後不安もあおっています。
住宅メーカーの提示額を前提に
色々言っています。
実際は5~6百万円安くできるのに。
アドバイス2
2000万円の物件を現金で買うという選択肢も
老後のために住宅を購入した結果、
老後生活が資金不足になればそれこそ
本末転倒です。
そこで、
年金受給後の生活から、もう一度考えてみます。
ご相談者の老後の生活費が今と同水準とすれば、
家賃と65歳で支払い期間を終えた保険料を引いた
28万円ほど。
対して、
ご夫婦の公的年金の支給額は月額24万円ですから、
毎月4万円不足する計算なります。
ご主人85歳までの20年間で、
960万円が自己資金として必要になるわけです。
退職金2000万円からその分を差し引けば1040万円。
それを60歳~64歳の生活資金に充てるとなると
約700万円が不足します。
結局それは今ある貯蓄で備えるしかありませんから、
実際に住宅資金に回せる金額は1300万円ほど
ということになります。
加えて、57歳~60歳まで、
現在と同じペースで貯蓄できれば約630万円。
さらに一時払いの終身保険を解約し、
その一部を資金に充てれば、
用意できる資金は合計2000万~2300万円。
これが、住宅ローンの支払いも含めて、
リスクのない住宅資金として使える上限となります。
さらに言うと、
住宅ローンを使わず現金で買ってしまえば、
低金利とは言え、支払利息を浮かすことができます。
また、
住宅ローンという大きな固定費を背負わないという点で、
家計には大きなメリットがあるとも言えるでしょう。
※建築業者選びで金額は落ちる。
お金の話をこねくり回す必要は無い。
アドバイス3
保険を思い切って見直してみる
3000万円の予算を2000万円近くに減らすのは、
かなり大変かもしれません。
それをもう少し引き上げるとすれば、
60歳から5年間、何かしらの収入を得るか、
あるいは支出を減らすしかありません。
支出については、ご相談者の場合、保険の見直しが
より効果的です。
長く公務員をされているという立場上、何かと
しがらみもあるでしょうが、
客間的に見て、明らかに掛け過ぎだからです。
ご主人の死亡保障は5000万円超。
がんになれば入院日額3万5000円に通院1万円。
死亡保障、入院保障とも4分の1もあれば十分でしょう。
もし、可能であれば、夫婦で加入している団体生命保険、
ご主人の勤労保険、生命共済2は解約していいのでは。
さらにがん保険の2と3を解約し、ご長男にかけている
医療保険も本人の支払いに切り替えれば、
月に約4万円の節約が可能になります。
それだけで
3年間に150万円近くが新たに貯められるわけです。
( 略 )
※「保険を思い切って見直してみる」
と言いながら、
ぜんぜん思い切っていない。
業界の人たちが言う「見直し」
などという中途半端なことを
繰り返していれば、
いつまでもお金をたれ流し、
家計が改善されることがない。
生命保険は清算!・・しよう。
ここから、生活設計はスタートする。