2016/7/26 日経 Money&Investment
編集委員 田村正之さんという人のお話。
65歳でリタイアしたとき
老後資金はいくらあればいいのか。
※金融業界の営業トークで
よくある切り口・・です。
そのまま真に受けずに、
しっかり自分の頭で考えながら
聞きましょう。
多くの人は公的年金だけでは賄えない
可能性が大きいが、
不足額は老後の暮らし方や夫婦の年金、
持ち家の有無などで千差万別。
タイプごとの不足額やどう用意するかを考えた。
老後資金は少なくとも
4人に1人が生きている年齢までを考えるのが
一案だろう。
※おやぁ~? 新しい案が出てきました。
国立社会保障・人口問題研究所の予測では
2050年時点で男性は93歳、女性は98歳なので、
今回はこの中間に当たる95歳までを想定した。
※なるほど、期間を長く設定することで、
老後資金必要額をより多額に
見せることがことができます。
お客様にそう思ってもらえば、
老後資金準備の商売が
やりやすくなります。
※自分で生活設計する場合は、
このようなドンブリ勘定ではなく、
きちんとキャッシュフロー表を
作りましょう。
夫婦2人期、妻1人期、のように
きちんとキャッシュフロー表で。
まずは持ち家を前提に支出を考える。
総務省の家計調査では
高齢夫婦無職世帯の1カ月の支出は約28万円。
これを「平均的な生活」とみなすと30年で
1億80万円だ。
※すごい金額 ・・です。
しかしファイナンシャルプランナーの紀平正幸氏は
「介護やリフォーム費用などの予備費を
少なくとも夫婦で600万円は見ておこう」
と話す。
すると1億680万円になる。
※もっと、すごい金額 ・・です。
一方、生命保険文化センターの意識調査で
「ゆとりある老後生活のための費用」
を聞いたところ、月35万円だった。
※これ、必ず出てくる営業トークです。
「ゆとりある老後費」
業界の営業トークに欠かせない
基本ワードです。
旅行や趣味などにお金をかけたければ、
必要額は増える。
この30年分と予備費600万円を足すと、支出は
1億3200万円となる。
※もっと、もっと、すごい金額・・です。
お客様の不安を煽りまくります。
■個人型DC活用
年金は夫婦の職業などで大きく変わる。
会社員(厚生年金と基礎年金)と
専業主婦(基礎年金のみ)の場合、
厚生労働省が想定するモデル世帯は月22万円。
30年で7920万円だ。
しかし
厚労省の財政検証では30年度の所得代替率
(現役世代の平均的な所得に対する年金額の比率)
は現状より1割前後減る。
財政検証では実額は必ずしも減らないとみるが、
厳しめに所得代替率の減少と同じ1割減として
計算すると7128万円だ。
平均的な生活には3552万円、
ゆとりある生活には6072万円足りない。
大企業の会社員の退職金は平均2000万円強なので、
平均的な生活なら退職金とは別に1500万円強、
ゆとりある生活は4100万円弱の準備が必要だ。
ただ退職金は企業により大きく異なるし
住宅ローン返済などで全額は手元に残らない
例も多いのは要注意だ。
早くから65歳時点の資産を増やすことに取り組みたい。
運用次第で将来の年金額が変化する
個人型確定拠出年金(DC)は最優先で活用したい
制度だ。
掛け金全額が所得から控除されるなど節税効果が大きい。
現在は自営業者や企業年金のない会社員しか加入
できないが、来年からは原則誰でも入れるようになる。
共働きで夫婦ともに厚生年金があると老後資金は
余裕が出てくる。
厚生年金の額は収入で大きく変化するが、
社会保険労務士の井戸美枝氏は
「リタイアするまで正社員を続けた場合の
厚生年金と基礎年金の合計額の
平均的な水準は夫16万円、妻が12万円程度」
と指摘する。
夫婦で28万円なので30年で1億80万円。
1割減だと9072万円だ。
不足額はゆとりある生活でも4128万円とかなり減る。
「退職金を夫2000万円、妻1000万円
と考えると、ゆとりある生活でも
別途準備するのは1100万円ですむ」
(井戸氏)。
ただし出産などを機にいったん退職すると
年金額も退職金も大きく減りがちだ。
妻が正社員として働き続けることが重要だ。
基礎年金だけの自営業者は厳しい。
夫婦合わせた基礎年金を月13万円とすると
30年で4680万円。1割減で4212万円。
平均的な生活でも6468万円も足りない。
■収入を減らさず
ただ自営業者は
65歳以降も従来通りの仕事を続けやすい。
※そういうこと。日本の年金制度は、
そういう前提で設計されている。
手に職がある自営業者は、
基本的に死ぬまで収入があるが、
サラリーマンは定年後は収入が
途絶えるので、2階建て、3階建て
の年金を準備する必要がある
・・ということ。
年収300万円で10年間働けば3000万円と、
不足額はかなり埋められる。
※自営業の人は、できれば
働けるうちは働きたい。
紀平氏は
「65歳以降も事業収入を減らさない
工夫を早めに考えておくことが必要」
と話す。
※当然です。
自営業者の個人型DCの掛け金の上限は、
年81万6000円と会社員(27万6000円)より大きい。
※余裕があればOKだけど、
毎年かなりの額を拠出することに
なるので・・
他の支出との兼ね合いをしっかり
考えたい。
手数料というコストを毎年・・
金融業界に吸い上げられるのが
気に入らない。
個人型DCとは別に、掛け金が年84万円まで全額
所得控除となる小規模企業共済という仕組みもある。
※どちらかを優先するとしたら、
DCよりは、こちらがおすすめ。
手数料を取られないのは大きい。
(当たり前)
税率3割の人がこの2つを満額で20年続けると、
掛け金の節税効果だけで990万円程度にもなる。
※「税率3割の人」???
そんな人はかなり限られた人です。
そんなレアケースを引き合いに
出すのは、いかにも営業トークです。
忘れがちなのが持ち家でない場合の老後の賃貸費用だ。
実は家計調査での住居費の支出は月に2万円弱。
持ち家の比率が9割超だからだ。
賃貸の人が月10万円の家賃で30年暮らすと、
3600万円かかる。
※これは、大きい。
「賃貸が得か?持ち家が得か?」
・・のような、無意味なアホバカ議論
が時々見受けられるが、
『老後の安定感』
に関しては、賃貸と持ち家では
文字通り・・雲泥の差。
机上の算数の損得ではなく、
不安定で惨めな老後生活になる
・・のが賃貸の住人。
紀平氏は
「現役時代に住宅ローン負担が軽い分を貯蓄し、
老後の住居費を確保しておくことが不可欠」
という。
※これは、その通り。
『老後住居費』の意識を持たずに
のんびり気楽にキリギリス生活を
していると、手遅れになる。
自宅での最低限の介護費用は予備費として
織り込み済みだが、いずれ有料老人ホームへ
入居を希望する場合は別途大きな支出が生じる。
施設などでまちまちだが
「入居一時金と、平均で5年程度の費用を
合わせると2000万円程度必要なケースも多い」
と井戸氏は指摘する。
今回の試算はあくまで一例だ。
自分の収入や支出に合わせて修正しながら、
老後資金の準備を早めに始めよう。
※この手の情報発信は、金融や保険
・・という業界からのものが多い。
そのまま鵜呑みにしないで、
しっかり、
自分の頭で考えるクセをつけたい。
日本人家計の貯蓄の実態。
金融広報中央委員会
「家計の金融行動に関する世論調査」(2014年)
(年代は世帯主の年代)
•20代 貯蓄のない世帯41.0%
平均値183万円 中央値30万円
•30代 貯蓄のない世帯34.2%
平均値415万円 中央値130万円
•40代 貯蓄のない世帯30.4%
平均値614万円 中央値300万円
•50代 貯蓄のない世帯29.5%
平均値1124万円 中央値408万円
•60代 貯蓄のない世帯28.1%
平均値1765万円 中央値740万円
※「平均値」より「中央値」の方が
実感としては実態に近い。
金融広報委員会
「家計の金融行動に関する
世論調査(二人以上世帯)2015年」
(年代は世帯主の年齢)
貯蓄ゼロ円世帯も含めた平均値は1209万円、
中央値(多い順または少ない順に並べたときの真ん中)
は400万円
※「平均値」より「中央値」の方が
実感としては実態に近い。
貯蓄ゼロ世帯は3割。
貯蓄保有世帯だけだと・・
•20代 平均値315万円、中央値239万円
•30代 平均値717万円、中央値405万円
•40代 平均値974万円、中央値600万円
•50代 平均値1941万円 中央値1100万円
•60代 平均値2462万円 中央値1500万円
※業界の営業トーク通りの貯蓄が
できている世帯は見当たらない。
限られた人たちだけが、
セールストークに対応できる。
まあ・・無理に、トークに乗る
必要はありません。
それなりの生活をすればいい
だけのことなので、
煽られる必要はありません。
しっかり自分の頭で考え、
きちんと生活設計していこう。
・・っと。
〇 商品販売をしない。
〇 しがらみを持たない。
誇りをもって、愚直に、
消費者側に立ち続けて15年目の
ファイナンシャル・プランナー事務所。
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