温故知新と言うけれど…
今日たまたま、夜フジテレビを回したら、クレージーやピーナッツなんかの名場面集をやっていた。神様・植木等御大もインタビューで出ておられたし、スタジオには谷啓御大がいた。いわゆる「クレージーキャッツ・伝説のエピソード」と言うのは、ファンにはお馴染みのものばかりだったが、かなり貴重な話もあった。VTRも昭和41年正月の「かくし芸大会」のキレイなVTRなんかも映ってて、ビデオに録り損ねたのを、今になって後悔している(笑)。その番組、後半は大したことなかったので、NHKのBSに回したら、「週間お宝TV」というのをやってて、フォークシンガーの小室等が「ジェスチャー」について熱く語っていた。回顧(懐古でも可)趣味人間の私にしたら、非常に贅沢なラインナップですごく嬉しかったが、その反面、一抹の不安も感じた。「こんなに過去を振り返ってばかりでいいのか?」と…。それだけ、今のテレビ番組がどうしようもなく酷いものばかり、ということの表れでもあるが、ここまで懐古趣味が激しくなると、どうだろうか…?そういう番組を続けてみたので、私もコレクションの中から、「クレージーキャッツ・メモリアル」という4本組のビデオを引っ張り出して、久々にノーカットの「シャボン玉ホリデー」を2本見た。結論。今のテレビはつまらない。昔のテレビは面白い。ごく当たり前の感想だが、やっぱし、こう思わざるを得ない、と思う。私はやみくもに「昔の文化」を持ち上げて礼賛するのはあまり好きじゃないが、改めて真剣に見ると、違いが一発で判る。「シャボン玉」は30分の番組。それなのに内容の濃いの何の!その前に見た「ジェスチャー」だって、内容は、死ぬほど単純だけども(笑)、中味は非常にシンプルなのに、濃い。「シャボン玉」は実質26分くらいで、歌あり、コントあり、「およびでない」あり。とても力が入った作りの番組だって、すぐ判る。どうして、こういうノウハウが、今のテレビマンに全く伝わっていないんだろう。どこの局を回しても、食い物番組か、健康番組か、セコなドラマしかない、という状況。全くもって、ゴールデンの番組は見る気がしない。深夜で「面白い!」という番組があっても、いい時間に変えられると、とたんに内容が薄くなって終了、というパターンも多々あるしね。もっと、真の意味での「バラエティ番組」が観たい。「シャボン玉ホリデー」や「今夜は最高」のような…。でも、そういう垢抜けたバラエティーに出られるようなコメディアンやボードヴィリアン(この言葉好き)が、今、皆無だもんね。野暮な田舎もんの芸(及び芸人)で、日本のテレビ・お笑い界を「汚染」した、吉本興業の罪は大きい。ジャニーズ事務所の罪も、かなり大きいと思うけど。垢抜けたお笑いが出来そうな人って、いったい、今、誰がいるだろう。タモリ・団しん也・小松政夫・井上順・三宅裕司・小堺一機…くらいしか思い浮かばない…。それだけ、若くて、良い芸のあるコメディアンがいないと言う事か。こうして私は、また懐古趣味に走ってゆくのだろう。我ながら、ホント~~~に、困ったもんだ。