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 教育についての話を続ける.

 官僚の作ったシステムは,監視(評価?)によって教師や生徒に仕事を強制するものにほかならない.人は権力に勝てないから,強制されれば従うしかない.そういう中で育つのは,自分の頭で考える人間ではない.与えられた作業を素早く適切に実行する,いわば官僚のミニチュア版のような人間である.日本の教育制度は,たしかに良くできたシステムだけど,何か非常に大切なものが欠けていると思う.
 何が欠けているか? 英国の教育関係者がしばしば口にする2つの言葉に注目したい.

 1つはモチベーション motivation である.人を勉学に駆り立てる動機,あるいは向学心とでも言えばよいのだろうか.強制されなくても,自発的に勉強するということだ.そういう self-motivated students は,英国では高く評価される.日本では受験競争を生き残らねばならないから,motivation は邪魔にこそなれ,プラスにはならない.もちろん評価もされない.

 もう1つの言葉は,レピュテーション reputation である.信用,とでも訳したらよいだろうか.しかし,信用を意味する他の単語,たとえば credibility とか reliability とかとは少し違う.そういうガチンコの信頼というよりは,世間一般の評判が良くて,信望も厚いというような,ソフトな意味合いの言葉のようだ.

 1つの架空の例を考えてみよう.たとえば人を採用するとき,複数の候補者の中から1人だけを選ばねばならないとする.日本式なら,すべての評価を数値化し,より総合点の高い候補者を採用するだろう.少なくとも,そういう方向を目指すのでないだろうか.これなら評価は客観的である.誰も文句のつけようがない.
 しかし,というのが英国流.人の性質や能力には数値化できないものもある.数字による客観評価ではAさんが上だけど,どうやらBさんのほうがより適任である.そういう判断があっても良い.
 そんな判断をくだしてモンクは出ないのだろうか.人事の担当者や委員会に,もっと「透明性」が求められることはないのだろうか.たとえば委員の誰かがBさんからカネを受け取っていたとかいう可能性は?
 こういう時に威力を発揮するのが,reputation である.委員会は公明正大だし,委員会に委せておけば大丈夫だ,という信用・信頼である.

 考えてみれば日本では,こういう信用・信頼はありえない.カネとコネが幅をきかせていることは誰でも知っている.だからこそ透明性を求める声があがる.閣僚からしてウソをつきまくっていて,不正が発覚しても本人は辞職しようともしない.政治家とはウソをつくものだというのは英国でも「定説」であるが,ウソが発覚した時の結末は日本よりはるかに重大である.つまるところ日本ではウソに対し寛大であるがゆえに,委員会には透明性が求められることになる.

 ともあれ reputation とは,そういう語である.上記のような場面では,権威 authority とも少し重なるかもしれない.しかし authority が権力を背景にもっているのに対し,reputation のほうは人々の信用・信頼を基礎に成り立っている.そして英国人は,自分の reputation を大切にするし,あの人はこういう reputation がある,と言って人をほめる.
 日本はサムライの国だそうだけど,その実情はウソつきが大手を振ってまかり通る野蛮人の国である.騎士の国・紳士の国である英国の,こういう面だけでも見習ったらどうだろうか.

 強制されなくても勉強するという自発性,自分は信頼されているという自覚,こういうものが英国では人を動かす原動力となっている.対して日本では評価による強制や束縛が原動力となっている.どちらがより創造的な仕事に結びつき易いかは,言うまでもない.

 日本の教育制度(学校教育)は,最初のボタンをかけ違えていると思う.人々とくに教育関係者がこのことに気付いて,ドラスティックな改革を試みない限り,ますます方向を見失うだろう.
 さいわい博物館は今のところ学校のような制約がない.そういう点で,教育全体の中で博物館のはたす役割に,私は大いに期待している.





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Last updated  October 17, 2007 09:56:49 AM
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