法然上人は不思議な夢を見ています。
それは極楽の観想の夢です。(上巻P402)
つまり、法然上人は自らが否定した観仏を完成させていたのです。
研究者の中にこの体験を否定する人がいる(P408)そうですが、
否定すべきものではありません。
法然上人は明らかに観仏にも通達していたのです。
それにもかかわらず、法然上人は念仏にこだわったのです。
また、法然上人は上西門院、後白河法皇、九条兼実といった
天皇・貴族に戒を授ける一方で庶民にも説法を行っています。
「一百四十五箇条問答」(下巻P31)
「にんにくや肉を食べても7日たったら仏事をしてもよいか」
とか「子供を生んで百日の間は神や仏にお参りするのを
はばかったほうがよいとおもわれますがどうですか」
などの素朴な疑問に丁寧に答えています。
これは現代の僧侶にとっても多いに参考になるもので、
法然上人の暖かい人柄がしのばれる。
僧侶のあるべき姿を示したものともいえます。 素光
月光浴住職様の(「法然の哀しみ」を読んで)もご覧ください。