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カテゴリ:ファッションビジネス
今日これから本年度МDゼミ(マーチャンダイジング・ゼミナール)を開講します。1995年当時の社長に誘われて移籍してこのゼミを開きましたから、もう随分多くの社員が受講してくれたことになります。
ここ数年教えていることは、マーチャンダイジングに奇策はない、基本に忠実に仕事しましょう、マーチャンダイジングの原理原則を守りましょう。誰に、何を、どのように、いくつ販売するつもりなのか、しっかり計画を立てて取り組む。簡単なことなんですが、これがなかなか守られない、そんなこと気にしたことがない小売店が世の中にはたくさんあります。他店はともかく自分たちは基本をちゃんと守りましょう、と教えてきました。 マーチャンダイジングの基本とは別に必ず話すことがあります。企業は規模ではないということ。たくさん店舗を持っていなくても、世界のブランドとは普通に交渉できる、世界的ブランドは規模で判断するわけではなく、どういうビジネスをするつもりなのかその戦略と熱意を見てるから、と。若手社員に自信をもって世界と交渉してほしいので、毎回いくつか事例を出しながら説明することにしています。 私が移籍した当時、インターナショナルブランドのオリジナルコレクションの扱いはゼロでした。当時あったものは、名前は欧米の有名ブランドでも日本のメーカーが提携して作ったライセンス商品(本物とは質もデザインも大きく違っていました)、あるいはオリジナルコレクションではなくセカンドライン(素材や縫製の質も価格もオリジナルより低いディフュージョンライン)だけでした。完璧に世界的ブランドのオリジナル商品はゼロ、でした。 ルイヴィトンから始まった大改装 だから、一気にお店を改装し、世界に感たるブランドのオリジナルコレクションをドーンと導入しようと経営幹部を説得、海外ブランド企業との交渉が始まりました。まず最初に交渉したブランドはルイヴィトン、日本で最も品揃えのいい大型店を一緒につくりませんか、と提案。本国の社長に打診したところすぐ来日してくれ、その数日後にはパリから店舗設計チームが模型をもって来日、仕事のスピード感に驚かされました。 数か月後には大型店が完成、そのオープニングが読売ジャイアンツの優勝祝賀パレードと日にちが重なって銀座メインストリートは大混乱、危険なのでお客様には店内の階段に並んでいただき、行列最後のお客様をご案内できたのはなんと閉店時間直前でした。 ルイヴィトンに続いて順次海外ブランドを導入、フェンディ、ディオール、セリーヌのほか、ドリスヴァンノッテン、マルタンマルジェラ、マルニ(3つともその後に退店)にも入ってもらいました。そのあとも改装は続き、サンローラン、バレンシアガ、クロエ、ステラマッカートニー、モンクレール、プラダ、ミュウミュウ、クリスチャンルブタン、ジミーチュウ、ロジェヴィヴィエ、ジルサンダー、マロノブラニクなどを展開、近年ではロエベ、グッチ、ジバンシーもショップができました。 クリスチャンルブタン日本初のショップ 親会社トッズの本社工場まで行って交渉したロジェヴィヴィエ ルイヴィトン開店時に導入したディオール 長くフェンディは旗艦店でした 1階と2階にショップがあるセリーヌ プラダとミュウミュウは同時に導入 モンクレールにも広いスペース アンダーソンになって人気上昇中のロエベ 各国で復活基調のジルサンダー 試着室内がかわいいステラマッカートニー ステラもかつてデザイナーを務めたクロエ 20世紀最後の年までオリジナルインポート商品はゼロだったなんて最近入社した若手社員はそんなこと知らないでしょうね。振り返れば、よくここまで集めたものだと思います。キミたちの先輩たちは外資企業との交渉頑張りました、とゼミ初日で説明します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.08.05 14:18:19
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