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売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

Nobuyuki Ota

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2023.10.07
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1994年秋まだCFD議長だった頃、全日制の本格的なクラスを開講する前に試験的に社会人向け夜間プログラムをやってみようとIFIビジネススクールで「プロフェッショナルコース」を始めました。全日制「マスターコース」がスタートしたのは1998年4月、それまでの3年半夜間プロフェッショナルコースのディレクターとしてお手伝いしました。最後は月曜日から木曜日まで毎夜違ったカリキュラムを4つ、ほぼ連日両国国技館前の仮校舎に通ったものです。

そのプロフェッショナルコースの受講生の中に総合商社繊維事業部門で働くSくんがいました。IFIビジネススクールで半年間学んだあと米国西海岸の駐在オフィスに転勤、帰国してまもなく会社から独立して自分のオフィスを構えました。マーケティング会社を運営し、ビジネス書としてはベストセラーの部類に入る本も何冊か上梓、メディア露出の多い人です。

久しぶりにそのSくんから連絡がありました。なんでも彼が懇意にしている中国のビジネスマンたちが来日してファッション流通業の視察と研修をする、そこで講演してくれないかとのことでした。コロナウイルス直前まで、私は来日する中国ビジネスマン(女性も大勢)たちにブランドビジネスやマーチャンダイジングの話をよくさせていただきましたが、コロナウイルスで渡航禁止、この3年間は機会がありませんでした。なので3年半ぶりの訪日団向けセミナー、しかもほとんどは伸び盛りの会社経営者と聞いて「クリエーションvsビジネス」を題材に約3時間半お話しました。




私は彼らにブランドDNA継承の重要性をわかってもらおうと継承成功事例と失敗事例の要因を説明しました。受講者の多くは経営者ですから、もし外部からデザイナーをスカウトする場合、まず今後のブランドの方向性をデザイナーとマネジメント側は十分話し合うべき、そこを曖昧なまま新任デザイナーが自由奔放にクリエーションするとブランドが守ってきた世界観は崩れ、大切なお客様が離れていってしまい、結局デザイナー解任という不幸なストーリーになりかねない、と。

利害の異なる両者の話し合いが十分だったのか疑問に感じる事例として取り上げたのは、サンローランとカルバンクライン。エディ・スリマンのサンローランとそれ以前のサンローラン、ラフ・シモンズのカルバンクラインとカルバン自身が作り上げたカルバンクラインの写真を見せながら疑問に思うことを説明。一方DNAがきっちり継承されている成功例として、ココ・シャネル、カール・ラガーフェルド、そして現在のヴィルジニー・ヴィアール3代に渡るシャネルを紹介しました。3人のシャネル、どれもシャネルと誰もが判別できるデザインでしたが、ブランドDNAの継承がいかに重要かわかってもらえたと思います。

研修ツアーに同行する日本在住のビジネスマンから後日メールが来ました。私の講演のあと各地を視察しながら受講者たちはブランドDNAのことをずっと話し合っています、と。私の話は彼らにとって大きな問題提起だったようです。こういうストレートな反応、講演した側には嬉しいです。

さらに、このビジネスマンから、近々来日する予定の中国企業の幹部にも講演してもらえないかと依頼があり、加えて中国側でこのツアーの世話役だった実業家からはSくんと一緒に中国で講演をしてもらえないかと打診がありました。かつての教え子と一緒にビジネス講習のために海外出張するなんて、IFIビジネススクールで教えていた頃には想像だにしませんでした。実現したらありがたいですね。

というわけで、ここ数日は中国ファッション流通業者の方々に次回東京で、そして中国で、それぞれお話する内容をあれこれ考え、2つのパワポ資料を作成しました。特にファッション業界以外の事例をひも解くうちに「どうして日本企業のつくる製品には顔がないんだろう」と改めて疑問に感じ、このままだと電機が世界市場で減速したように近未来日本の自動車も世界で売れなくなると思わずにいられません。




ひとつ例をあげるならば、MINIにはちゃんと顔があります。目の前を通過した瞬間、その車のロゴを見なくても車に全く興味のない私にだって一目瞭然MINIだと判別できます。しかし、ダイハツ、スズキ、三菱自動車など日本の軽自動車はどうでしょう。フロントについている会社マーク、後方についているブランドロゴを見なければ、よほど自動車に詳しい人でないと車種や社名は判別できません。セダンも同じ、メルセデスやBMWはロゴを見なくても通過した瞬間なんとなくどっちの車かわかりますが、日本のセダンは一般人にはわかりにくいでしょう。つまりマーチャンダイズに顔がありません。

顔のないマーチャンダイズと中途半端な顧客分類でも、印象的なCMを流せばなんとかなるだろういう旧式戦略ではもう世界市場で通用しない世の中になっている。服であろうが、バッグや靴であろうが、自動車や電機製品であろうが、顔のないマーチャンダイズでは勝負できないという話を中国業界人にしようと考えています。

コロナウイルス前もそうでしたが、中国ビジネス研修団は真剣に質問してくれます。疑問を感じた点はとことん質問してくれますから講演のやりがいがあります。Sくんはすでに何回も現地セミナーをした経験があるそうですが私は初心者マーク、刺激的な話をわかりやすく伝えたいです。





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Last updated  2023.10.07 20:35:16
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