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売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

Nobuyuki Ota

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2023.11.12
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投資ファンドを退任する頃、お世話になっている方から頼まれて日本での視察研修にやってきた中国ファッション流通業界の経営者たちに講演をしました。するとどういう経路でその講演のことが中国業界に広まったのか、次から次へと訪日中国視察団向けセミナーの依頼が増え、さらには個別の企業の社員研修も依頼されて毎月中国ビジネスマン向け講演レジュメを作成していました。

2020年新型コロナウイルスの影響で訪日自体が不可となり、中国人対象の研修依頼はなくなりました。が、この秋口に中国の渡航規制が緩和され、再び訪日研修ツアーが増え、私のところにもいろんなルートから講演打診が届くようになりました。9月中旬ファッション系経営者グループに「クリエーションとビジネスの関係」を講演させていただきました。


9月の講演

昨今のデザイナー退任劇の急増から、ブランドDNAの継承がいかに難しいか各国の失敗事例をあげながら解説。参加者の中には世界的に有名なネット通販会社で研修を担ってきた幹部がいて、セミナー後にその方のSNSにアップする動画収録もありました。このインフルエンサーのSNSの影響なのか、伸び盛りの製造小売業の社員研修団に対するレクチャーを頼まれ、さらには中国に出張して業界関係者に終日研修する話まで持ち上がり、このところ中国向けに何パターンかのレジュメ制作に追われています。


セミナー後インフルエンサーSNSのためインタビュー収録

先日講演した製造小売業の研修団は創業者、幹部、店頭指導の専門職ら約20名が5日間日本の工場や売り場を回り、VMD研修を受けるプログラムでした。創業社長が多数の幹部を連れて海外研修する、素晴らしい企画だと思います。私が所属した百貨店も積極的に社員海外研修を毎年実施、社員たちは現地でいろんな刺激を得て自分の仕事に活かしていました。生きたお金の遣い方です。

私の講義に参加してくれた中国人には、米国を代表する製造小売ブランドG社が1980年代前半どん底からどのように立ち直ったのか、そして急成長時はどんなに素晴らしいマーチャンダイジングを我々に見せてくれたのか、続けて創業家と経営者の確執から始まった下降線の経緯を説明。製造小売業のものづくり姿勢はどうあるべきなのか私見をお伝えしました。特に素材クオリティーに対する考え方がブランドの方向性に大きく影響する、と。

また、この中国企業は新興成長企業なので、これからものづくりで考えなければならないことはブランド十八番(おはこ)をどう作るのか、さらにブランドDNA、アイデンティティーの重要性を説きました。皆さん熱心に聴いてくださって質疑応答は長く、時間を大幅延長して講演は終わりました。来月私が中国に出張して現地セミナーに登壇することをご存知で、創業者は幹部を連れて参加するとおっしゃってました。ありがたいことです。


企業研修後の記念撮影(社名はぼかしました)


最近はクリエーションとビジネスのあるべき関係をよく話します。例にするのがオランダの画家ヴィンセント・フォン・ゴッホと画商だったテオ・フォン・ゴッホの関係。ゴッホは生涯たった1枚の絵しか売れませんでしたが、実弟テオは兄の才能を信じて支援を続け、テオ家には大量のゴッホ作品が蓄積、それがのちにゴッホの価値を高めました。画商はデザインマネジメントを担う人間、クリエーションを受け止める力量がなければなりません。売れる、売れないだけを論じていてはクリエーションの価値は見えてきませんから。

ブランドDNA継承の重要性もよく話します。外部から招聘した人気デザイナーが名門ブランド企業のディレクションを滅茶苦茶にしてしまった事例、その果てにブランドそのものが市場から消滅してしまった最悪の事例、逆に経営陣とクリエイターが事前に方向性を十分話し合って成功した好事例や創業者のクリエーションを後継デザイナーたちがいかにして守ってきたかも写真を紹介しながらお話しします。写真を見せれば言語が違っても誰もが理解してくれます。

さらに、ファッション以外の分野でも日本製品には「顔がない」という事例を写真を紹介しながら説明します。これも言語が違ってもこちらが何を言いたいのか 写真から簡単に理解してもらえます。ブランディングについては自動車やパソコン、日本酒を例にします。日本酒では海外のワインに比べてどうして価格が安いのか、どうして日本酒ボトルは貧弱なのか、どうしてヨーロッパのシャトーのように宿泊や食事ができないのか、ブランドとは中身だけではなく外見もサービスも含めた文化を売るもの、と説明します。

もう一点、日本のアニメは世界で高く評価されてはいますが、日本のアニメで実際に儲けたのは誰でしょうか、どうして日本のアニメ制作現場はブラックのままなのでしょうか、儲けているのはコンテンツ開発した日本の会社ではありませんという話、外国人ビジネスマンには理解してもらえる事例です。

これまでずっと教えてきたマーチャンダイジングの基本、誰に、何を、どのように、いくつ売るのか仮説を立てましょうという話、これは世界共通ネタですから皆さんうなずいてくれます。マーチャンダイジングは長年教え続けてきたこと、いろんな例を引っ張り出しながら講演しています。

来月中国で開催されるセミナーは、丸1日3部構成でクリエーションとビジネスの関係についてお話する予定。参加者の中にはこれまで私の講演を来日時に聴いたことある方やその同僚、部下もいるでしょうから、同じ内容、同じ事例で話しては新鮮味がありません。レジュメを何度も何度も書き直しながら、皆さんに新鮮に感じていただけるよう準備しております。





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Last updated  2023.11.14 15:21:44
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