庁立札幌高等女学校跡地(札幌市中央区)
祖母の母校、北海道庁立札幌高校女学校の跡地に行ってみた。所在地は札幌市中央区北2条西11丁目。今は札幌市立大通高校になっていて、その敷地の一角に「北海道庁立札幌高等女学校」の碑があった。母によれば、祖母は南1条西2丁目、今の丸井今井大通館の場所にあった自宅から女学校まで、人力車に乗って通っていたらしい。「歩いてもすぐなのに」と母が言う通り、道のりにして1.7キロ。「すぐ」ではないにしても歩いて通える範囲ではある。『僕のおばあちゃんは、もしかすると良いところのお嬢さんだったのかな』と思った。そして、碑の隣に建つ説明板には次のように書かれていた。(抜粋)・北海道庁立札幌高等女学校は明治三十五年本道女子中等教育の嚆矢としてこの地に創設された・高潔・清楚・温雅・堅忍の校風に育てられた有為の人材は校庭の楡の大樹を母校の象徴・心の故郷としつつ家庭に社会に多大な貢献をなした(※嚆矢はコウシと読み、「ものごとの始まり」の意だそうです。)「家庭に社会に多大な貢献をなした」という書きっぷりに、戦前の教育思想っぽい雰囲気が感じられて面白い。おそらく明治時代に作られた北海道唯一の女学校には、全道から優秀な女学生が集まってきて、良妻賢母になるための教育を受けていたのだろうと思う。『いつもニコニコしていた優しいおばあちゃんは、もしかすると勉強がよくできる女の子だったのかな』とも思った。母に聞いても、おじさんに聞いても、祖母は自分のことを余り話さなかったそうで、実際のところはわからない。碑の建つ大通高校の敷地の東側には北海道大学の植物園が広がり、南側には国の合同庁舎や裁判所が並んでいる。昔から大通公園の北側は、賑やかな「すすきの」がある南側に比べると静かなエリアだったようだ。