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カテゴリ:アメリカ生活
ハリケーン「カタリーナ」の被害状況はすでに昨日の日記で述べたが、アメリカの経済的影響もかなり大きいように思える。それで経済的影響についてちょっと考察。 ■ タクシーからみるハリケーンの経済的影響 一昨日日本から帰国して飛行場から家までのタクシーに乗ったときのこと。タクシーの運転手と話をしたら、ハリケーン後のガソリンの高騰にはとても参っている様子だった。 「も~、大変だよ! (1ガロン)3ドルだよ。3ドル!」 こっちのタクシーのシステムは、各運転手はタクシー会社から車と機材をリースで借りうける。タクシー会社にとっては、運転手からのリース料を受け取るだけで、各運転手がいくら売り上げようが関係ないのだ。その分、ガソリンなどの経費は運転手が払うので、ガソリンの高騰は運転手の収入に関わる問題なのだ。 僕らが日本へ出発したころは1ガロン2.60ドルくらいだったので、たた2週間で約15%も高騰しているのだ。このガソリン価格高騰をうけ、タクシー会社は運賃の値上げを考えていないのか聞いてみると、 「会社にたいしてぼくら組合は(運賃値上げのため)戦っているよ。もう値上げしないと、ぼくらは死ぬね」 とまあ、かなりご立腹の様子だった。 ■ 石油高騰の背景 今回の台風でアメリカは経済的地理に痛い教訓を学んだことになる。ウォールストリートを金融、ハリウッドをエンターテーメントのように、メキシコ湾岸はエネルギーと位置づけられる。 アメリカ全体のシェアをみてみる、海外からの石油の60%がメキシコ湾岸港に輸入され、石油精製能力の47%がこの湾岸地域に頼っているのだ。 それがこのハリケーンによる被害で、石油供給不足によって、ガソリン価格は高騰してまった。 ■ 完全にアメリカのインフラがやられた 車、飛行機など石油に頼るアメリカの社会は、車に頼る物流産業、航空産業や消費者にもろに影響を受ける。今回のタクシー運転手もその一人。 また、石油だけでなく、農産業にも影響を与える可能がある。アメリカから輸出される農作物はかなりの割合をメキシコ湾岸の港に頼っている。 メキシコ湾岸の港から輸出された農作物のシェア(2004年) もし秋の収穫までにメキシコ湾岸の港を復興できないと、農作物は他の港に頼らざるを得ない。輸送コストが増し価格上昇となるかもしれない。 ■ 保険業界 損害額 140億ドルから350億ドル 昨日のウォールストリートジャーナルによると、損害保険支払い額は140億ドルから350億ドルといわれ、経済的損失は1000億ドルともいわれているそうだ。 これだけの多額な損失を計上する保険業会としては今回のカトリーナを踏まえ、この温暖化による異常気象のリスクを考慮しなけらばならなくなる。 保険というのは、被保険者(加入者)が統計的に予想できる損失を出し合う仕組みとなっていて、(統計的)損失のリスク分散が月々の掛金(保険料)となってあらわれる。 つまり、異常気象による損失リスク考慮は、メキシコ湾岸地域の車や家の損害保険料に跳ね返ってさらに高騰することになるだろう。メキシコ湾岸だけでなくアメリカ全体で保険料の見直しが行われると思うな。 (来年の車両保険がこわい。。。)
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