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ハリケーン「カトリーナ」の被害の凄まじさはTVなどで報道されている通りだが、今回何よりも衝撃的だったのが、災害三日目くらいから被災地の市民が暴徒化し、被害をより深刻にしたという重苦しい事実だ。
ハリケーンが来れば堤防が決壊する危険性は数年前から指摘されていたのに、イラク戦争の戦費捻出のために州予算が削減され、有効な対策がとられておらず、それが被害を決定的にしたという分析がされている。 確かにイラク戦争以降全米の州予算は相当削減されているが、それにしてもハリケーンの危険性はイラク戦争以前から分っていたはずだから、これはやはり行政の怠慢としかいいようがないだろう。 さらに、避難勧告をしても金が無いために非難できない住民の方が多い、と言うことも行政は把握できていたはずだ。しかしその人数が多すぎるために満足な防災計画も作ることが出来ていなかったのだろう。「唯一の超大国」アメリカの冷徹な現実が全世界に暴かれた瞬間でもあった。 現地でのインタビューで、「金持ちは車や飛行機で逃げることが出来た。でも車も持っていない私達には逃げる手段もなかったし、行く宛もなかった。だから家にいるしかなかった」という声は悲痛だ。貧困は危険から身を守る権利さえも奪うのだ。 ルイジアナ州の面積は日本の本州部分とほぼ同じくらいの広大な面積がある。救出活動の遅れを非難するのは簡単だが、その広大な面積をカバーする救出計画の立案そのものがきっと州レベルではすでに不可能なことなのだろう。 州や街単位で不可能な事業は、国家が責任を持って行うべきだ。国家が国民の生命・財産を守るという大前提が、こうもあっけなく破られた例も先進国では珍しいだろう。強大な軍事力で、三週間でイラクを制圧したアメリカが、真っ先に守るべき自国の民を救出できずにいる姿はあまりにも悲しい。 アメリカでは金さえ払えば誰もが銃を手に入れられる。それはいざというときに我が身を守るためなのだ、という理屈があるからだが、今回の場合それはいとも簡単に武装化した暴徒を生み出す要因になった。アメリカ国民はそのことに気付いているだろうか。 ごく一部の富める者達と、それ以外の大半が貧しい国、それが超大国アメリカの姿だ。それが「グローバル・スタンダード」ともてはやされ、この10年あまり日本が追いかけてきた国家の姿であるとするならば、あまりにも悲しい。これは対岸の火事ではなく、我が国のこれからの社会の有り様に重大な警鐘を与える事件だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年09月06日 01時24分26秒
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