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3日の朝日新聞の一面記事「就学援助 4年で4割増」という記事を読んで暗澹たる気持ちになった。
記事の内容は、公立の小中学校で文房具代や修学旅行費などの援助を受ける児童・生徒の数が04年度までの4年間に4割近くも増え、受給率が4割を超える自治体もあることが朝日新聞の調査で分った、というもの。 文部科学省によると、就学援助の受給者は04年が全国で約133万人。00年度より33%の増加。受給率の全国平均は12.8%。都道府県で最も高いのは大阪府の27.9%、東京都の24.8%、山口県の23.2%と続く。 驚くのは市町村別トップの足立区。なんと42.5%が援助を受けているのだ。給付水準は自治体によって差異があるものの、足立区の場合前年の所得が生活保護水準の1.1倍以内の家庭。支給額は年平均で小学生が7万円、中学生が12万円。 同区内には受給率が7割に達した小学校がある。卒業文集を制作するため、クラスの児童に「将来の夢」を書かせようとしたが、三分の一の子供が何も書けなかった。「自分が成長してどんな大人になりたいかイメージできない」からだという。 上記は発展途上国の子供の事ではない。経済大国、日本の首都東京の小学校で起きている現象なのだ。解説の苅谷東大教授は「義務教育段階でこんなに差があって次世代の社会はどうなってしまうのか」と驚いている。 国内にいると意識できないが、海外から見ると日本の国は貧富の格差がほとんど無く、治安は良く街は清潔に保たれている。スラムや貧民街も存在しない。これは戦後60年間、貧富の格差を最小限に留め、教育水準を一定に保ち、教育水準の高い勤勉な国家を指向してきたからに他ならない。しかし義務教育も満足に受けられない国民が確実に増大しつつある現在、状況は劇的に悪化しつつあるのだ。 今、過度な自由化や強者だけがますます強くなるグローバルスタンダードが跋扈している。ヒルズ族に代表される勝ち組は確かに存在するが、彼らはほんの一握りに過ぎない。彼らの影に隠れているのが膨大なリストラ化された人々であり、その結果の一つの現われが、この援助の異常な増大ではないのか。 日本の新聞はここ30年程、社会保障を受ける立場の人々の意見を積極的に採り上げてこなかった。社会全体が豊かになり、その割合が相対的には減少していたからだ。しかしこれからは違う。勝ち組は数に置いてマジョリティたり得ない。朝日をはじめ各紙が、真のマジョリティの意見をきちんと採り上げていくよう、我々は強く監視するべきではないだろうか。 日本は努力しても仕方ない社会なのか? 不平等社会日本 国民総背番号制とはなにか? プライバシー・クライシス 私たちの豊かさは誰のおかげか? アジア絶望工場 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月06日 01時30分30秒
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