|
カテゴリ:その他の話題
今日の高校サッカー決勝、鹿児島実業VS野洲は本当に面白かった。
組織サッカーとフィジカルタッチの強さで群を抜く鹿実。鹿実一筋42年の監督の下徹底的に身体能力を鍛え抜き、選手達の体格は他チームより明らかに上だ。全員五分刈り。がっちりと守り、セオリー通りの堅いサッカーが売り物。現在の高校サッカーの、というよりも全世界的なサッカーの主流だろう。 対する野洲は全国大会二度目の出場。しかも県立。こちらは「見せる(魅せる)サッカーを信条に個人技に徹底的にこだわった、ある意味型破りなチームだ。長髪OK、二時間半の全体練習の殆どをミニゲームに使い、ゲームの中で創造性を養うという練習をしてきた。 今日の決勝はいうなれば「柔よく剛を制す」試合ではなかったか。解説の前園(鹿実OB)が、「夏合宿は殆どボールにさわらず、フィジカル強化練習が殆どだった。例えば、ゴールからゴールへの全力ダッシュを50~60本はやってましたね」と語っていた。 私も中・高サッカーをやっていたことがあるのでその凄さは分る。その過酷な練習に耐え体力を磨き、さらにテクニックを身につけた選手が鹿実のレギュラーなのだろう。対する野洲は毎日試合形式の練習を徹底的に行い、いわば実戦感を掴むことに全力を傾けてきた。今日の試合で彼らが見せた再三にわたるヒールパスは、その実戦練習で養えた連帯感の共有がなければ絶対に出来ない技だった。決勝点もそのヒールパスが起点となったのだ。 もちろん野洲はテクニック重視だけではない。全体練習は二時間半だが、その後各選手は個人個人練習を行い、夜十時まで練習に没頭する選手もいたという。90分間プラス20分間のハードな試合に耐えうるだけの体力も当然ながら身につけているのだ。 今回、ここ数年主流となっていた「守備重視」「組織重視」サッカーに明確なアンチテーゼが確立されたことが嬉しい。FWの青木選手は山本監督から「おまえはドリブルのことだけ考えていればいい」と言われ、例えディフェンダー三人に囲まれても突破していく技術を磨いたという。現在の日本代表FW陣に足りないのは、こうした考え方と人材ではないか。この野洲の勝利に触発され、自発性に富んだ魅力的なプレーヤーがどんどん育ってくれれば、日本サッカーの未来も明るいのだが・・・どうだろうか。 今日この試合を見ていて、私は野球マンガの「キャプテン」を思い出していた。全国大会常勝の青葉学園に対し、弱小チームの墨谷二中が努力に努力を重ねて遂に勝利する、という少年マンガの王道。徹底的に組織野球の青葉に対し、そもそもレギュラーが9人ぎりぎりしかいない墨谷は猛練習で個人の能力を磨き、青葉を倒す。野球とサッカーの違いはあるが、なんとなく似たものを感じたのだ。 高校サッカーも甲子園も、優勝するのは殆どが資金の潤沢な私立高だ。そこに県立で風穴を開けた野洲の功績は計り知れないほど大きい。有り難う、野洲イレブン。素晴らしいサッカーを見せて頂きました。 懐かしいですね~ キャプテン(1) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月10日 01時51分51秒
[その他の話題] カテゴリの最新記事
|
|