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先週行われたパレスチナ評議会選挙で、ハマース(現地の発音はこちらの方が正しいらしい)という組織が過半数を制し第一党となったことで、世界中のマスメディアが騒いでいる。
とはいえ大抵の人は主に日本のメディアから情報入手しているだろう。それによると、ハマースは「危険思想の極右政党」であり、「イスラエルに対して最強行派」であり、「これで中東情勢は混迷の度を深める」という報道が殆どだった。 日本の新聞・テレビの報道では、40年間政権を握っていたファタハがなぜ下野しなければならなかったのかが良く分からない。繰り返されるのは「ハマースは武装闘争支持の極右政党」というものばかりで、これらの報道ばかり聞いていると「一体何故パレスチナの人々は極右政党なぞ選んだのか?そんなに戦争を望んでいるのか?」と思わされてしまう。 しかし、私の読んでいるメルマガに「レバノン通信」なるものを発行しているNGOの方の寄稿があり、これを読んで非常に納得がいった。 その方によると、ハマースは確かに武装闘争を継続してはいるものの、その活動は学校・病院・保育所・薬局等広範囲にわたり、自前の資金調達も豊富、かつ地域での活動が非常に密で人々の信頼が厚く、今回の選挙は勝つべくして勝ったのだと言う。 これに対し、ファタハという政党は40年間政権にあり、先進諸国から湯水のような開発資金援助を受けているものの、政権内の汚職が続き、貧困問題も一向に解決していないということで、今回の選挙では「対イスラエル」という争点と「国内問題解決」という争点が存在し、ファタハはその両方に敗れたとみるべきなのだろう。 今回の選挙結果を受けてアメリカは早速神経質な対応を見せている。それと同時に「ハマース=危険な集団」という論評だけが世界中をまかり通り、またもや世論を間違った方向に誘導してしまうのではないか。 どんな局面にも複数の見方が存在する。今回のハマース勝利報道は、もっと慎重にされるべきだと改めて感じた。 「レバノン通信」リンクはこちらです http://www.geocities.jp/beirutreport/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月31日 13時51分42秒
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