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カテゴリ:ワールドカップドイツ大会
昨日のW杯決勝戦はイタリアが24年ぶりの優勝を遂げたというのに、各種ニュースはジダンの頭突き事件の方により時間を割いていた。大変残念なことだ。
相当頭に来る事を云われたようだが、残念ながらピッチ上での罵り合い・貶し合いは結構よくある出来事だ。単なる悪口ではなくて、相手を挑発するためにわざとけなすこともよくある。しかも国際大会となれば当然ながら人種偏見ぽい発言もあるだろう。なにしろワールドカップは戦争だ、と言われているくらいなのだから、蹴りあい・罵り合いは避けて通れない。 ジダンはその闘いの世界に20年近く身を置いて来て、そうしたことを骨の髄まで理解していたはず。なのにあの行為に及んでしまったのは、やはり短慮であったとしか言いようがない。 あの時点で試合を長時間中断して両者の言い分を聞くなどということは試合進行上絶対に不可能。であれば明確な暴力行為を働いた方が退場になるのはいたし方なかった。 それにしても残念。世界中のファン、特に子供たちに見せたくなかった。フランスのメディアでも、「ジズー、何千万という子供たちになんと言い訳するのだ?」というコメントがあり、総じてあの行為に対しては批判的だ。さらに、あの衝撃的な映像が世界を駆け巡り、イタリア優勝の快挙に水をさすようなことになってしまった。 イタリアの優勝は決してジダンが退場になったからではない。それは要因のひとつに過ぎない。彼がそのままPKを蹴って失敗することもあったろうし、彼がいても誰かが失敗する可能性があった。たらればをどうこう云っても仕方ないのだ。 揺ぎ無い事実は、32カ国が真剣勝負を、それこそ死力を尽くして戦ったワールドカップでイタリアが頂点に立ったということだ。高い技術と弛まぬ努力、そして危機を追い風に変えた精神力。そのどれもが賞賛に値する。 特に素晴らしいのは、今回のイタリアチームは23人全員がセリエAという国内リーグに所属していること。これは参加国中サウジアラビアとイタリアだけ。八百長疑惑で国中が揺れる中、誰も海外リーグで武者修行をする必要が無いほどセリエAの実力が高いことを証明したわけだ。 また、大会MVPは「頭突き事件」の直前に投票されていることもあってジダンだったが、あの事件のあとなら間違いなく二位のカンナヴァーロが選ばれていただろう。 身長175センチという小兵ながら、ドイツやフランスの大型選手に競り負けない体力。そして何よりもボールの行方に対する「読み」が深く、危機的な状況になる直前に相手からボールを奪う洞察力と瞬発力。とにかくそのいずれもが素晴らしく、イタリアの危機を何度となく救っていた。イタリア人は体格的に日本人に似ている。その彼らのプレースタイルは日本人選手にとっても非常に参考になるだろう。 ジダン事件は残念だったが、だからといってイタリアの栄誉が揺らぐものでは絶対ない。アズーリよ、胸を張れ!君たちは素晴らしい!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年07月11日 17時20分10秒
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