久々にモーツアルトのレクイエムを聴いた。
私はクリスチャンではないのだが、何故かこの曲は心に強く染みる。歌詞は全てラテン語であり、CDの訳を見なければ意味もわからないし、そもそも語られていることはキリスト教や聖書の知識が無ければ皆目分らないのに、一体何故この曲はこんなに我が心を揺さぶるのか?
その秘密はやはりあの旋律にあるのだろう。モーツアルトが死の床で書き終えたのが「ラクリモーサ」の途中までだとしても、後半部分は決して蛇足になっておらず、弟子のジェスマイヤーの努力により古今の名曲中の名曲として屹立している。
モーツアルトの特徴である優美で繊細な美しい旋律と、死の恐怖と諦観に満ちた劇的な旋律という相反する要素が絶妙に解け合い、キリスト教を歴史の題材程度にしか知らない浅学な自分にも強烈なインパクトを与えてくれる。
月並みだがレクイエムの中から一曲を選べと云われたら、やはりラクリモーサになるのだろうか。(全体的にもそうだが)、あの悲しい旋律は何度聴いてもため息が漏れてしまうほどに気高く美しく、とても人間が書いたものとは思えない。
私は声楽曲を殆ど聴かないが、この曲だけは別格である。そして何故か、数ヶ月に一度無性に聴きたくなるのだ・・・一体何故なんだろうか。
カラヤン晩年の録音。BPOとの録音よりも柔らかみがあって好きです。
ヘルベルト・フォン・カラヤン(/モーツァルト:レクイエム ニ短調
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