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北参道口から明治神宮の境内を出てJR中央線に沿って東に進みますと、間もなく右手に東京オリンピックのために建設した巨大な国立競技場が現れますが、その左手に明治神宮外苑の聖徳記念絵画館が建っています。
明治神宮外苑に入る時、表通りの靑山通りから大きな銀杏並木道を抜けて進みますと、遠くに聖徳記念絵画館が見えますので、明治神宮本殿と聖徳記念絵画館はかなり離れたところにあると思っていましたが、裏通りを歩くと極めて近い位置に建てられていたことが分かります。 聖徳記念絵画館は、明治天皇の偉大な御事績と御聖徳を長く後世に伝える場所として建造されたもので、館内には明治天皇にかかわる幕末から明治時代に至る内外の政治事象を描いた絵が展示されており、明治神宮外苑のシンボル的存在なのです。 しかし聖徳記念絵画館の外観は洋風で、中央部にドームのある重厚な西洋風の石造りの建物であり、その前面に広がる庭園も池のある四角の洋風庭園です。洋風な造りは聖徳記念絵画館の周辺だけでなく、明治神宮外苑の全体に及んでいます。 (写真1、2) 聖徳記念絵画館は、苑内を回遊する車道の楕円形の基底部に位置しており、前方に広がる総合球技場を展望し、その先にある直線の銀杏並木通りを見通せるようになっています。代々木練兵場跡地に造成された明治神宮の森が伝統的な和風の造りに徹しているのに対して、靑山練兵場跡地に造成された神宮外苑は幾何学的な構造の明るい洋風の造りで対称的です。しかし、明治神宮のように鬱蒼たる森はありませんが、要所要所には多くの樹木を植えてあり、明治神宮外苑も緑の深い庭園ではあります。 (写真3、4、5) 更に神宮外苑が明治神宮と決定的に異なる場所だと印象づけるものは、苑内に種々のスポーツ施設が配置されていることです。代表的なものは、先ほど紹介した巨大な国立競技場の他に、前回の東京オリンピックの会場となった東京体育館、六大学野球で有名な明治神宮野球場、テニスコートなどがあります。 (写真6、7、8) 宗教哲学者の中沢新一氏は、その著書「アースダイバー 東京の聖地」で、明治神宮と明治神宮外苑の違いを明治神宮の二元論と称して次のように説明しています。 「代々木の内苑は、内部に向かって「閉じる」ことを原理としている。そこには目には見えない明治天皇の御霊が祀られている。それを取り囲む「人工の原生林」は、視覚化というものを拒否しようとしているように見える。神話的な時間の内側に閉じこもって、自分を森の緑の奥深くに「隠す」という考えが、森の全域にゆきわたっている。 これにたいして青山の外苑は、世界史の現実に向けて自分を「開こう」としている。陽光のもとでスポーツする身体は、観客によって見られるために、誇らしげに躍動する。絵画館の中に展示されるのは、明治天皇の御霊ではなく、現実の歴史の中で活躍した、明治天皇の人生を視覚化した絵画である。」と。 明治神宮本殿と聖徳記念絵画館が一組のものとして造られたことは、北参道経由で歩くと両者の距離が極めて近い位置に建っていることで分かります。 (以上) 人気ブログランキングに参加しています。応援をよろしくお願い致します。 人気ブログランキングへ 写真1 聖徳記念絵画館 写真2 庭園の池 写真3 銀杏並木通り 写真4 明治神宮外苑の樹木 写真5 明治神宮外苑の樹木 写真6 国立競技場 写真7 東京体育館 写真8 明治神宮野球場 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.06.02 17:08:16
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