ハウスクリーニング会社を辞め独立した紅は、「開運お掃除サービス」を事業として立ち上げ、教祖的存在になるが…。自己啓発と承認欲求の闇を撃つオフリミットノベル。『小説すばる』連載を加筆・修正し単行本化。
ハウスクリーニングサービスで働く高岡紅は、丁寧な仕事と気配りで依頼人からリピート指名が入るほど信頼を得ていた。だが、入社当時からさほど変わらぬ待遇や問題の多い部下に腐心する日々に疑問を抱いていた。そんな折、母・奈津子から独立を後押しされ起業を決意する。仕事は軌道に乗り、リピート客である船場薫の強い勧めで新事業「開運お掃除サービス」を立ち上げる。薫の仕掛けで紅のブログがインフルエンサーの目に留まり、書籍化も決定。初セミナーも大成功を納め、カリスマ指導者として一躍時の人となった。そんなある日、紅のメソッドを曲解した一部の会員の行動がSNSで批判され大炎上。窮地に追い込まれた紅は起死回生を試みるのだが……。
本書は、ハウスクリーニングサービスで働く主人公の高岡紅が独立し「開運お掃除サービス」を起業し、書籍販売や講演会など軌道にのるもオンラインサロンでの自己啓発セミナーの世界の隆盛と転落を描いた物語。承認欲求や開運ビジネスの闇をエンタメ作品としてスリリングな展開は一気に読まされました。
【満足度】 ★★★★