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カテゴリ:本の話題
先日
『成田空港建設を巡る三里塚闘争を描いたマンガ「ぼくの村の話」(尾瀬あきら)を読む その1』 『成田空港建設を巡る三里塚闘争を描いたマンガ「ぼくの村の話」(尾瀬あきら)を読む その2』 『成田空港建設を巡る三里塚闘争を描いたマンガ「ぼくの村の話」(尾瀬あきら)を読む その3』 にて、三里塚闘争を描いたマンガ「ぼくの村の話」についてを書きましたが、今回がこの作品紹介としての最後を締めくくりたく思います。 コミックの最終巻でもある7巻のラストシーンでもありますが、ここで物語の中での重要な役を果たしていた、ある農業青年の死が描かれます。 これも事実に基づいた内容であり、三里塚で、農業と家族を懸命に守ろうとしながらも、闘争の中で、自ら死を選んだ青年の遺書が描かれていますが、この遺書については、勝手ではありますが、ブログ『旗旗』から引用させてもらいます。 空港をこの地にもってきたものをにくむ (母ちゃんへ) 長い間苦労をかけました。俺がつかまるたびに、いろいろ心配して、さぞかしたいへんだったでしょう。俺はすまないと思いながら口に出せませんでした。今でも本当に苦労かけたと思っています。空港問題などなかったら、俺も今ごろ嫁さんなんかもらって、りっぱに百姓やっていけたと思います。しかし考えれば考えるほど、俺達の所へ空港なんぞもってきたやつがにくいです。ほんとうに、母ちゃんにはすまないです。俺がいなくなってもけっして力をおとさず、広といっしょにくらして下さい。いつも口げんかばっかりしていたけど、本当は俺もいいやつなんだよ。かあちゃん、それじゃあ元気で。俺いくよ。母ちゃん、絶対に元気でな。力おとさず広がいっから。広がいっからな。 (父ちゃん) 俺あんまり仕事やらずに青行ばっかりやってで、すまなかった。それでも、青行ねえ時にはまじめに仕事やったつもりだよ。俺いままで何にも父ちゃんや、母ちゃんにしてあげられなかったな。心配ばかりかけてすまなかった。しかたなかったんだよ。空港などこんな所にもってきたから、まじめにやれば闘わざるをえなかったんだよ。しかし、俺は線が細いから、闘いにたえられなかったんだな。人間なんて弱いもんだな。なんかの本に書いてあったけど、もっとも人間らしく生きようと思っている人間が、なんで非人間的にあつかわれるのかな。本当に、国家権力ていうものは恐ろしいな。生きようとする百姓の生をとりあげ、たたきつぶすのだからな。 いいたいことは山ほどあるが、なかなか出てこない。さっきまで、いらいらしていたが、なんだかさっぱりした気持ちだ。俺が行ったら、あのやぶれた青行の旗で、くるんでくれや。できたら、みんなでみおくってくれ。俺だけ、ずるやってもうしわけない。 三里塚空港粉砕! 最後まで、三里塚に生きつづけて下さい。 みんな、元気で。 1971年9月30日 三ノ宮文男 そして、物語のラストページですが 上記の場面で終わっています。 毎日、大勢の人で賑わう成田空港ですが、その成田空港が、どういった経緯で建設され、その建設の裏には、公開討論すら開かれず、問答無用に強制収容を施行し、農民から土地を奪い、仲間や家族をも奪い、国の強引な力で故郷を奪い、その農民たちの生きる場所の死守の闘いの上に、今の成田空港が存在しているということを、改めて感じました。 この作品は多くの人に読んでもらいたい作品でもあり、そして民主主義の本質とは何かを問う、素晴らしい作品ですので、機会があれば、一読してほしいコミックです。
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この漫画は読んだことないですが、機動隊が惨殺された事件とかにも触れてるんですか?
(June 14, 2023 10:41:51 PM)
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