金も夢も友もない上京したての大学生・暖平は、ひょんなことから落語研究会に入ることに。落語が繋ぐ仲間との出会いが、彼の人生を大きく変えていき…。書き下ろし人生応援小説。
大学進学を機に群馬から上京したばかりの門田暖平は一人、新品のこたつを亀の甲羅のように背負い佇んでいた。配送料が払えず自力で下宿に持ち帰ろうと思ったが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことができない…。途方に暮れる暖平の前に、一台のバンが止まる。乗っていたのは、入学式の日、構内で落語を演っていた落語研究会の部長・忽那碧だった。落研に誘われるが、金もなく、コミュニケーションにも自信がなく、四年間バイト中心で過ごすつもりだと語る暖平。だが、「必要なのは扇子一本。あとは座布団さえあればどこでもできる」という碧の言葉に背中を押され、暖平の人生が大きく動き出す…。
本書は、大学進学を機に上京したが、友達を作らずサークルにも入らず、お金を稼ぐためバイトに明け暮れる日々を過ごすつもりだった主人公が、ひょんなことから落語と出会い成長していく物語。落研のメンバーが皆個性豊かで人情味もあり、落語の世界をエンタメ小説として魅力ある表現で描かれます。
【満足度】 ★★★★