国産材丸太相場下落の原因を考えてみました。
ご存じの方も多いと思いますが、国産材丸太相場が下がってきています。特に桧丸太価格はかなり下がってきていて、当社のI山林部長に聞いても「今まで経験したことがない」状況です。木材業界内で考えられている丸太相場下落の原因は大きく分けて3つです。まずは、補助金です。間伐材を出せば出すほど補助金が出る現在の制度では、相場の高い安いよりも補助金の出る出ないで丸太を出材するかどうかが決まるので、相場がこれまでにないほど安くなっても、出材が減りません。2つ目は、円高・ユーロ安です。一時1ユーロ=95円台をつけて、現在も1ユーロ=99円台の為替水準では、欧州からの輸入製材品(ホワイトウッド・レッドウッドの管柱、集成土台など)が安く大量に入ってきます。強度と価格だけで樹種を選定する住宅建築業者さんにとっては、杉よりも安くなったホワイトウッド・レッドウッドを使おうということになり、国産材の製品価格が輸入品の価格下落とともに下がってきています。住宅購買層の所得が下がってきて、住宅価格全体が下落していることもこの傾向に拍車をかけているように感じます。3つ目は、産地間競争です。昨日訪問した製材工場で聞いた話です。「今は運賃がさしてかからない。九州からでも全国各地へ2,000円/m3で 届けられると聞いている。九州から出る製品は安いので、九州製品に 負けない単価を出さなければならない」新生産システムの影響で大型工場が全国各地で立ち上がりました。大型工場からは、大量の国産材製品が生産されます。九州の大型工場でできた製品は、九州内だけでは消費しきれないので大阪、東京などの消費地へ向けて出荷されます。いわゆる「地産外商」です。その結果、消費地では「産地間競争」が発生します。木材流通業者としては、「安くて品質の良い製品であれば産地は問わない」というのが基本姿勢です。人工乾燥材(特にJAS製品)であれば、工場間の品質の差はあまり感じられません。従って大型工場は、できた製品を売るために「価格で勝負」ということになります。そのため、製品の相場が下落して、丸太の価格にも大きく影響しているのではないでしょうか。昨日、お客様の製材工場を訪問したところ、間柱の在庫が構内いたるところに置いてありました。以前見たときよりも、かなり在庫が多いように感じます。新生産システムで大型化・コスト低減を目指した結果、より価格競争が激しくなり間伐に補助金を出した結果、出材が減少せずにさらに相場が下落する・・・。この事態を打開するためには、間伐や生産設備に対する補助金を、製品を使う「出口」に対する補助に振り向けて、需要をつくる方向を後押しすることが良いと思います。地域型ブランド化住宅事業は需要をつくる方向に向ける一つのやり方ですが、どのグループが採択されるかが決まらないと、実際の需要に結びつかないのでもうしばらく時間がかかりそうです。