私はサラリーマン時代に救護士の講習を何度か受けましたが、幸いなのかスキルを活用する機会がありませんでした。
かなり前なので、躊躇してしまうかも知れません。
でも、消極的な企業があまりに多くて残念です。
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心停止した人に電気ショックを与えて心臓を動かす「自動体外式除細動器」(AED)。救命率アップのカギと期待されながらも、普及が進まない。
厚生労働省は昨夏、一般の人にも使えるように医師法の解釈を変更する方針を打ち出した。日本循環器学会も空港や駅、デパートなどへの配備を勧めているが、導入した施設は少数だ。同省は今月、普及拡大を目指し都道府県に通知を出した。
日本循環器学会がAEDの設置を提言しているのは、空港や駅、列車、スポーツ施設、デパート、ホテルなど大勢が集まる施設。朝日新聞社が全国の代表的な103施設に電話で聞いたところ、設置しているか設置を予定しているのは、成田、羽田、中部国際の3空港と、スポーツクラブ3社、競技場7カ所だけだった。
成田空港は昨年10月に初めて2台購入。厚労省の規制緩和を受けて、今秋には、職員らが使えるよう数十台に増やす方針だ。「海外の主要空港では、設置されているケースが多いので」という。職員の研修も検討している。現在2台ある羽田空港も増台を予定している。
フィットネス施設では、顧客サービスの観点から検討が進んでいる。売上高トップ5社のうち3社が導入を予定。全国に70店舗がある「ルネサンス」は今年度内にも全店に配備する。担当者は「高齢者の会員が増えている。お客様に安心して、利用していただきたい」という。
プロ野球12球団の本拠地球場のうち東京ドームとナゴヤドームは、設置済み。サッカーJ1のホームグラウンド16カ所のうち少なくとも5カ所では設置されていた。
一方、交通機関は消極的だ。JR6社と私鉄大手15社、全国11の地下鉄では設置されておらず、予定もなかった。
「AEDを使うには一定の条件が必要と聞いている」(横浜市交通局)、「医師でないのに、使って責任問題が発生すると困る」(JR東日本)、「心臓発作で倒れる人はまれ」(大阪市交通局)などの理由だった。
1台50万~70万円の価格も普及を阻む。「自治体財政難の中では難しい」(札幌市交通局)。「各社の動きをみて」と説明する会社も多かった。
日本ホテル協会に加盟する客室数700室以上の17ホテル、売上高上位の百貨店など10社でも、はっきりした導入計画はなかった。ある在京の百貨店は「倒れたお客様の救急搬送をお手伝いしているが、それ以上の処置は難しい」と戸惑う。
日本では1日100人が心臓発作で突然死しているといわれる。専門家によると、心停止から3分以内に電気ショックを与えると7割が助かるが、その後1分遅れるごとに救命率は7~10%下がる。10分以上何も処置しないと、ほぼ全員が助からないという。119番通報から救急車が現場に着くまでに、平均6.3分(02年消防庁調べ)かかる。
厚労省は、居合わせた人がすぐに対応すれば、救命率が高まると判断。当初は講習を受けることを条件にしていたが、居合わせた人が近くのAEDを使っても医師法に違反しないとする解釈をまとめ、今月、都道府県に通知した。
自動体外式除細動器(AED)
心臓の心室が小刻みに震えて全身に血液が送り出せなくなる「心室細動」が起きたとき、電気ショックを与えて心臓の動きを正常に戻す医療機器。AEDは携帯型の自動式で、患者の胸にパッドを張ると、機器が電気ショックが必要かどうかを判定し、音声で指示がでる。米政府は01年、米国籍の航空機に配備を義務付け、日本の航空会社も配置している。
(出典:朝日新聞)
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