加齢黄斑変性には乾燥型と湿潤型があります。
加齢黄斑変性の90%は乾燥型で、これは、黄色味を帯びた沈殿物が黄斑に蓄積で発症するそうです。
湿潤型は、黄斑部の網膜下に新しい血管が発育することによって起こり、米国では毎年約50万人にこの症状が現れるそうです。
湿潤型は急激な変化が特徴で、斑紋の膨張や中心視の減退が発症から1週間で起こり、湿潤型にかかった患者のほとんどが失明するというとても恐ろしい病気です。
黄斑部の変性した細胞は、活性酸素の一種である一重項酸素による損傷。食物中に含まれる抗酸化物質の摂取の低い人ほど加齢黄斑変性の進行のリスクが高い。
喫煙が2倍以上のリスク。
アルコールも生体内の抗酸化物質を消費するのでリスクになる。
高コレステロールは、黄斑に損傷を与える酸化反応を促進させる。
高血圧や心疾患も眼への血流不足から加齢黄斑変性にかかるリスクが高くなる。
加齢も重要な要因の一つと考えられる。
老化や老化に伴う多くの疾患に関与しているのが活性酸素であり、的を射た予防はむずかしくありません。
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欧米先進国で、成人失明原因の第1位である加齢黄斑変性の患者が、日本でもここ数年急増してきているという。
加齢黄斑変性とは、物の細かい部分や色を見分ける機能を持つ網膜の「黄斑」という部位が、年をとることなどが原因で変性し、中心部の視力が短期間で急激に悪化する病気。欧米では黄斑が萎縮(いしゅく)するタイプが大半だが、アジアでは血管が新しくできて出血などを起こすタイプが多い。このタイプは、萎縮するタイプに比べて急激な視力低下を招きやすく、失明する可能性も高い。
日本での正確な患者数は不明だが、50歳以上の人の0.67%、全国で30万人もの患者がいるという試算もある。その有病率は、75歳を超えると急増するため、今後患者が大幅に増える可能性が高い。
失明を避けるには早期発見が必要になるが、これがなかなか難しい。片方の目に視野の中心部の視力低下や欠損、コントラストがわかりにくくなるといった症状が出ても、もう片方の目がカバーするため症状に気づかなかったり、あるいは「歳のせい」として見過ごされたりすることが少なくないからだ。
さらに、片方の目に新しくできた血管(新生血管)が見られる患者の半数近くには、5年以内にもう一方の目にも新生血管が発生するというデータがある。つまり、片方の目に症状があれば、健康な目の方にも同じ症状が現れてくる確率が高いため、放置すると失明につながりかねない。
加齢黄斑変性の診断は、精密な視力測定や、格子状のラインがゆがんで見えないかを調べるなどして行う。蛍光の色素を注射して眼底を造影し、新生血管を描出する方法もある。
もっとも、黄斑変性の診断がついても、これまでは経過観察が中心だった。レーザーによる光凝固や新生血管を取り除く外科手術も行われてはいたが、病変のある場所によっては適応にならなかったり、正常な組織まで傷害する可能性があったりしたためだ。
しかし最近、「光線力学療法」と呼ばれる治療法が広がり始めている。これはビスダインという物質を静脈内に注射してから、レーザーを照射して新生血管を閉鎖してしまう方法だ。ビスダインは新生血管に集まる性質があるので、この物質に選択的に吸収される波長のレーザーを照射すれば、周囲の組織への障害を最小限にして新生血管を焼くことができる。静脈内に注入を始めてから15分後に1分半ほどレーザーを照射すればいいので、治療時間も短くてすむ。
比較的治療費が高い、何度か照射する必要があるといった問題点もあるが、既に日本でも約50施設で実施されている。大阪大学の田野保雄教授らが、昨年10月に加齢黄斑変性の啓発と光線力学療法の適正使用を目的に、「眼科PDT研究会」を立ち上げ、普及を図っていることもあり、今後も実施施設は増えていきそうだ。
(出典:NIKKEI NET)
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