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2005/05/31
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カテゴリ:病気・医療関連
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WHOの推算によると、活発な運動は乳癌の発症率を20~40%減少させる。一方、乳癌診断時の肥満や診断後の体重増加は、生存率を低下させるという報告も多い。米Harvard大学Brigham and Women's病院のMichelle D. Holmes氏らは、週に3~5時間のウォーキングに相当する運動により、乳癌患者の死亡率が半減することを明らかにし、Journal of American Medical Association(JAMA)誌2005年5月25日号に報告した。

運動は、卵巣ホルモンの血中レベルを下げる。したがって、運動が乳癌患者の再発や生存率に影響する可能性があるが、この仮説を支持するデータはほとんどなかった。そこでHolmes氏らは、前向き観察研究を行った。

対象は1976年に始まったNurses' Health Studyに参加した女性看護師から選出した。1984~1998年にステージ1~3の乳癌と診断された4484人から、運動と乳癌の関係の調査に適した2987人を選び、2002年6月まで、またはそれ以前の死亡時まで追跡した。死亡は463人、乳癌死は280人、乳癌再発は370人。死亡率分析期間の中間値は96カ月だった。

日常的な運動量は、MET・時間/週で表した。MET(代謝当量)とは、座って安静にしている状態のエネルギー消費を1METとし、これをもとに活動時のエネルギー消費を数値化するもので、運動強度を示す。今回は、個々の患者の1週間の運動量をMET値×運動した時間(MET-時間/週)で表し、<3、3~8.9、9~14.9、15~23.9、≧24の5群に分類した。それぞれ、通常の速さ(3.2~4.7km/h)のウォーキングを、週に<1、1~3、3~5、5~8、≧8時間行った場合の運動量に相当する。

最初の運動量調査は1986年。時期は個々の患者について診断から少なくとも2年たった時点とした。その後、1988年、1992年、1994年、1996年、1998年、2000年に同様の調査を行った。質問は「過去1年間に、以下の活動のそれぞれを週に平均何時間行ったか」というもので、ウォーキングまたはハイキング(METスコアは3)、ジョギング(時速9.6km/h未満)(METスコアは7)、ランニング(それ以上の速度)(METスコアは12)など、米国で一般的な様々な運動が列挙された。共変数として、乳癌患者の生存率に関係することが知られている既知の因子や、腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、ホルモン受容体の発現状況、治療の種類、閉経の前か後か、BMIなどで結果を調整した。

3MET・時間/週未満の女性と比べると、3~8.9MET・時間/週の患者の乳癌死の多変量調整後相対リスクは0.80(95%信頼区間0.60-1.06)、9~14.9MET・時間/週では0.50(0.31-0.82)、15~23.9MET・時間/週で0.56(0.38-0.84)、24MET・時間/週以上で0.60(0.40-0.89)(傾向のP値は0.004)。全生存率と再発率にも運動の利益が見られ、傾向のP値はそれぞれ0.003と0.05だった。5年生存率は、9MET・時間/週以上と3~8.9MET・時間/週で97%、3MET・時間/週未満は93%。10年生存率はそれぞれ、92%、89%、86%だった。

運動の利益が特に大きかったのはステージ3の患者。9MET・時間/週未満の群に比べそれ以上の群のリスク比は0.36(0.19-0.71)だったが、対象となる患者が76人で乳癌死は15人と少なかったことを著者たちも認めている。また、ホルモン反応性乳癌患者も大きな利益を得ていた。ホルモン反応性で運動量が9MET・時間/週未満の女性に比べ、それ以上の女性の相対リスクは0.50(0.34-0.74)だった。

したがって、3MET・時間/週以上、すなわち週に1時間以上のウォーキングに相当する運動をすれば、運動しない場合に比べ乳癌死のリスクは減少し、最大の利益が得られる3~5時間/週のウォーキングでは死亡率は半減することが明らかになった。

日本のウォーキング人口は3000万~4000万人。40代以上の日本人が行う最も一般的な運動がウォーキングだという。乳癌の予防になり、発症後も生存率向上に役立つというのは、喜ばしい。

本論文「Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis」概要

(出典:MedWave)





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最終更新日  2005/05/31 08:11:18 AM
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