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テーマ:日々自然観察(9990)
カテゴリ:昆虫(テントウムシ)
上の写真は一昨年(2007年)の5月中旬に撮ったものである。クチナシの若葉に付いたアブラムシが目当てでやって来たらしい。体長は、約2.1mm、ブワブワした衣で被われているので正確な体長が分からないが、まだかなり小さい。左側に居るアブラムシが萎びているのは、このコクロヒメテントウの幼虫に少し囓られたのかも知れない。
次の写真は、毎回拙サイトを御覧になっている読者諸氏にはお分かりのことと思うが、以前ハリブトシリアゲアリを掲載したときに一寸写っていた個体である。アリマキを捕食者から守るはずのアリと一緒に歩いている。体長は約2.2mm、余り綿状の衣が発達していないところを見ると、脱皮してからまだ日が浅いのかも知れない(別種の可能性もある)。 佐々治寛之著「テントウムシの自然史」に拠れば、この綿状の物は幼虫自身が分泌する蝋物質で、物質的にはワタフキカイガラムシ類のものと相同だそうである。
上の写真も一昨年に撮ったもので、体長は約5.5mm、終齢幼虫であろう。珍しく草本植物であるカクトラノオの上を忙しく歩き回っていた。それを横から撮ったのが、下の写真。口、3本の脚、腹部の体節が見えている。 捕まえて、蝋物質を剥がしたり、裏返しにしてみれば、もっと良く体の構造が分かるのだが、気の毒なので止めておいた。
幼虫はかなり特異な形をしているが、成虫の方はどうかと言うと、体長2mm前後、暗色でお尻の辺りだけが茶色い目立たない甲虫である。ヒメテントウ類は、名前の如く一般に小型で2mmを越える種類は少なく、また、普通のテントウムシよりもずっと縦長なので、一般の人が見てもテントウムシとは思えないかも知れない。 ヒメテントウ類は、庭を「探索」している間にそれらしき姿を見かけることがある。しかし、何時も写真を撮る前に逃げられてしまう。尤も、写真を撮っても、それだけではヒメテントウ類の同定は難しいだろう。 尚、前述の文献に拠れば、ヒメテントウ族の幼虫の大部分は、綿状の蝋物質を出すとのこと。写真の幼虫は最普通種である「コクロヒメテントウの幼虫」として置いたが、或いは、別のヒメテントウの幼虫である可能性も否定は出来ない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんな虫を見つけたら、間違いなくコナカイガラムシがいたと思って、潰してしまいます。ヒメテントウムシの幼虫がこんな形をしているとは全く知りませんでした。親も2ミリしかないとは。ことによったら害虫と思って潰しているかもしれません。
(2009.07.25 22:20:27)
ただ今、うちの裏口開けたとこにある柑橘類に
イセリアカイガラムシとこれにそっくりの小さめのカイガラムシがついてて 昨日、決死で潰しまくったとこです(>_<) なのでうちでこれを見たら私は…!!! テントウムシでも綿をまとうのですね。 ヒメテントウムシの仲間だけなのでしょうか。 (2009.07.25 23:52:03)
ヤスフロンティアさん
> こんな虫を見つけたら、間違いなくコナカイガラムシがいたと思って、潰してしまいます。ヒメテントウムシの幼虫がこんな形をしているとは全く知りませんでした。 ----- 少しチョッカイを出せば、テントウムシの幼虫ならば動き出すと思います。 >親も2ミリしかないとは。ことによったら害虫と思って潰しているかもしれません。 ----- 大いに可能性があります。私も老眼鏡かマクロレンズ付きカメラがないと区別出来ないと思います。 (2009.07.26 11:09:42)
snowrun29さん
>ただ今、うちの裏口開けたとこにある柑橘類に >イセリアカイガラムシとこれにそっくりの小さめのカイガラムシがついてて >昨日、決死で潰しまくったとこです(>_<) >なのでうちでこれを見たら私は…!!! ----- コナカイガラムシに似ていても、アブラムシ食ですから、カイガラムシと一緒にいることは、基本的にないと思います。 >テントウムシでも綿をまとうのですね。 >ヒメテントウムシの仲間だけなのでしょうか。 ----- 前掲書に拠れば、ヒメテントウ族(族は亜科の下、属の上)以外にもあるそうですが、何れもヒメテントウ亜科に属す様です。 (2009.07.26 11:19:24)
5.5ミリの白い蝋物質をもつ幼虫が テントウムシの幼虫と知らなかったです。
白いものを取って ウスミドリ色の本体もどこかに無いかな~と探してもナカナカみつかりません。剥がす意味がないからでしょうか。 小さくて取りづらいのかもと 思いました。 (2009.07.26 15:01:58)
るる555さん
>5.5ミリの白い蝋物質をもつ幼虫が テントウムシの幼虫と知らなかったです。 ----- 虫の世界は複雑奇怪です。専門家でも分からないことだらけと言っても良いのでは。 >白いものを取って ウスミドリ色の本体もどこかに無いかな~と探してもナカナカみつかりません。剥がす意味がないからでしょうか。 >小さくて取りづらいのかもと 思いました。 ----- 何処かのサイトで見た様な気がしますが・・・。裏返しは此方(http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/HTMLs/kokurohimetentou.html)。 (2009.07.27 07:04:22)
白くて、もこもこした形が、とてもかわいいです☆
一枚目のお写真の中だけを見ても、 いくつもの命のドラマがいっぺんに写っていることに驚き、 やや劇的な気持ちで、しげしげと見入ってしまいました^^; 我が家では、あと数日でカクトラノオが開花します。 アーチャーンさんの文中に、カクトラノオの文字を見つけ、 もしやあたしにも、このようなお写真が撮れるのでは、と、 一瞬、夢を心に描いてしまいました☆ あたしのコンデジでは、到底このようなお写真は撮れそうにありませんが、 それでも、興味があるので、近くで観察してみようと思います^^v (2009.07.27 19:47:55)
夢のはしさん
>白くて、もこもこした形が、とてもかわいいです☆ ----- 動き方は、何となく以前撮ったクサカゲロウの幼虫(http://plaza.rakuten.co.jp/Wolffia/diary/200707150000/)に似た感じでした。同じアブラムシ食の幼虫と言う先入観もあるのでしょうが・・・。 >一枚目のお写真の中だけを見ても、 >いくつもの命のドラマがいっぺんに写っていることに驚き、 >やや劇的な気持ちで、しげしげと見入ってしまいました^^; ----- アブラムシの捕食者というのは大体こんな感じでアブラムシに囲まれています。 >我が家では、あと数日でカクトラノオが開花します。 >アーチャーンさんの文中に、カクトラノオの文字を見つけ、 >もしやあたしにも、このようなお写真が撮れるのでは、と、 >一瞬、夢を心に描いてしまいました☆ >あたしのコンデジでは、到底このようなお写真は撮れそうにありませんが、 >それでも、興味があるので、近くで観察してみようと思います^^v ----- カクトラノウに居たのは偶然でしょう。普通は木本植物に多い様に思います。 (2009.07.28 07:01:00) |