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テーマ:日々自然観察(9876)
カテゴリ:昆虫(その他)
少し前までは、トビケラに関して全く無知であった。しかし、今年もう一つのWeblogで初めてトビケラを2種紹介したので、少しは分かる様になった。 先ず、北隆館の新訂圖鑑にある検索表で科まで落とす。概略を記すと、小型種でない→単眼がある→小腮鬚は5節→小腮鬚の第5節は第4節に較べて2倍以上の長さで鞭状になる→触角は長く、大型種で、前翅にハッキリとした茶褐色の斑紋がある、と云うことでヒゲナガカワトビケラ科(Stenopsychidae)に落ちた。
少し解説をすると、先ず、上の写真で、頭の上にまるで対空探照灯の様な大きな単眼が見える。単眼は3個あり、これは5番目の正面から見た写真の方がより良く分かる。小腮鬚は小顎鬚、小顎肢(最近よく使われるが、誤解を招く不適切な表現)とも呼ばれ、口器の一部である。これが、トビケラ類では非常に大きい。上の写真で番号を振ってあるのがそれで、全部で5節、第5節は第4節の数倍以上も長く、鞭状になっているのが分かる。 なお、虫の種類によっては、小腮鬚と紛らわしいものに下唇鬚がある。上の写真で「L」で示したのが下唇鬚である。尤も、これはトビケラの分類には余り関係しない。
さて次は、種へ落とせるか?である。九州大学の日本産昆虫目録に拠れば、ヒゲナガカワトビケラ科は6種、その内本州に産するのは5種、一方、東京都本土部昆虫目録を見ると、ヒガナガカワトビケラ只1種のみである。 北隆館の圖鑑には2種、他にチャバネヒゲナガカワトビケラが載ってる。まァ、この辺りに珍種が居る可能性も無いので、図鑑に載っている無印ヒゲナガカワトビケラか、このチャバネの何れかであろう。
圖鑑の解説を読むと、決定的な違いは、脛節にある距の数である。また、少しややこしいことになるが、トビケラの分類では、距式と云うものを使って、脛節にある距の数を表す。もし仮に、前肢脛節には距が無く、中肢脛節では2本、後肢脛節では4本、であれば、距式は0-2-4と表される。圖鑑に拠れば、チャバネの距式は雄が0-4-4、雌が2-4-4、一方、無印ヒゲナガカワトビケラでは、雌雄共に3-4-4である。
写真のトビケラではどうか? 3番目の写真や此処に示していない写真から総合的に判断すると、前脚には3本,中脚には4本の距が認められる。後肢の距は良く見えないが、前肢、中肢で3-4だから、これは明らかにチャバネではない。無印ヒゲナガカワトビケラの解説を読むと、「産地から平地に広く分布し、全種[チャバネ]よりも分布も広く密度も高い」とある。圖鑑に載っていない珍種である可能性は、論理的には否定出来ないが、まァ、無印ヒゲナガカワトビケラ(Stenopsyche marmorata)として良いであろう。
しかし、何故に水生昆虫のトビケラが我が家に現れたのか。私の住んでいる町は、東西を互いに約1km離れた2本の川に囲まれている。我が家はその中央よりやや東に位置するが、近い方の川でも400m位は離れており、また、何れの川も崖を下った所を流れている。其処から、自分で飛んで来たとは思えないし、また、風が強い日があった訳でもない。 圖鑑に拠ると、ヒゲナガカワトビケラは灯火によく飛来するそうである。川から明かりを求めて飛んでいる内に迷子になり、挙げ句の果てに、我が家の庭に現れたのであろうか。
今日、朝のコーヒーを飲む為にベランダの椅子に座ったら、ヒトスジシマカが数頭現れた。今年初見である。早速、横に置いてあるネットで掬い取って処分したが、兪々蚊の季節に入ったらしい。蚊、特にヒトスジシマカは大嫌いである(好きな御仁はまァ居ないだろうが・・・)。しかし、それでも寒いのよりは暖かい方がずっと宜しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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川から400mも離れてのトビケラ出現
不思議ですね~。 どちらかのお屋敷に水の流れる池でもあったのでしょうか。 それにしてもいつもながらやはりの映像です。 ここまでクリアに大きく見えればこそ、ですね。 ラクダムシの情報ありがとうございました。 橋のたもとのシャクの花を撮らないと、と 順番待ちの間に大急ぎで撮ったもので、整理して気づきました(大汗) あの辺りの標高は335位だったかと。 イヌブナは割に近くにありましたが ブナはもっと高いとこまで行かないと、でした。 何しろほんまに虫の世界は広いです、、 >「シオンの1種」にとまる種不明の蚊. >雄なので触角が団扇状 びっくりしました。 蚊はともかく逃げ惑うか、退治するかで 雄の蚊など気にした事もなかったのですが あんな見事な触角だったとは! 肉眼でもそれと解る位なのか?と思った程です。 (2010.05.23 12:16:05)
snowrun29さん
>川から400mも離れてのトビケラ出現 >不思議ですね~。 >どちらかのお屋敷に水の流れる池でもあったのでしょうか。 ----- 多分光りに惑わされて遠出したのだと思います。何処かの御屋敷の池としても、最初にその池に移った個体が問題になります。 >それにしてもいつもながらやはりの映像です。 >ここまでクリアに大きく見えればこそ、ですね。 ----- これだけ大きい虫は久しぶりです。 >ラクダムシの情報ありがとうございました。 >橋のたもとのシャクの花を撮らないと、と >順番待ちの間に大急ぎで撮ったもので、整理して気づきました(大汗) ----- 実は、私はまだラクダムシの本物は見たことがありません。 >あの辺りの標高は335位だったかと。 >イヌブナは割に近くにありましたが >ブナはもっと高いとこまで行かないと、でした。 >何しろほんまに虫の世界は広いです、、 ----- 広すぎて困ります。 >>「シオンの1種」にとまる種不明の蚊. >>雄なので触角が団扇状 >びっくりしました。 >蚊はともかく逃げ惑うか、退治するかで >雄の蚊など気にした事もなかったのですが >あんな見事な触角だったとは! >肉眼でもそれと解る位なのか?と思った程です。 ----- 肉眼でも良く見れば分かります。かなり前に掲載した綺麗なユスリカの雄を撮ってあるのですが(未掲載)、これも触角は羽毛状です。 (2010.05.23 17:09:01) |