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カテゴリ:人文:今日の言葉この1冊
9月にはいりましたね。
最近は、夜窓を少し開けていると、 虫の声が聞こえて 秋の情緒を感じさせてくれます。 ちょっとセンチメンタルになって、 さびしんぼしてる人は 食欲の秋、おいしい焼き芋でも食べて 元気出してね。 私は読書の秋、こんな本を読んでみました。 「国家の品格」藤原正彦・著 ただ今263万部の大ベストセラー♪ 3年前に出版されてベストセラーになったときは、 どこかのオヤジが説教たれてるんやろ、くらいに思って(^^;) 全然読む気もしなかったんです。 でも最近の国際ニュースや社会派の映画を見て 日本はちゃんとした国でいて、 尊敬されるような国にならなきゃいけないんじゃないか、 と、急に思うようになったんです。 それで、この本を思い出して読んでみることにしました。 数学者である藤原先生の視点で、 常識とされている美しいイデオロギーを一刀両断にしていて、 かなり唖然としました。 私もまた、根拠のない論理やキャッチフレーズを すっかり刷り込まれているんだと知って ちょっとショックです。 著者の意見がすべて正しいかどうかわかりませんが、 「常識として美しく語られていることは、怪しいと疑ってみるのが妥当だ」 ということを教えてくれます。 数学者なので論理で考えることの専門家です。 公理を論理の出発点に置いて考えられる数学は論理でいい、 でも、俗世間の事柄に共通の意識なんてないから、 そもそもの論理の出発点が、それぞれの勝手な情緒や価値観で決められる、 だから、出発点がいい加減で論理だけが完璧というものほど 間違ったものはないということ。 自由、平等、国民主権、どれも耳障りはいいけど 現実にない、フィクションだとバッサリ。 それはトーマスジェファーソンがアメリカが独立宣言に 自由、平等、国民主権をうたったその論拠に 「神が権利を与えてくれている」と神様を引っ張り出している時点で、 「それはあなたの信仰でしょ?」とすでに 根も葉もない妄想になってしまっているのだそうです。 民主主義国家も危うい、 ドイツも完璧な民主主義国家だったけど、 ほぼ100%近い支持率で国民はヒトラーを支持し参戦したそうです。 国民がみんな賢かったら民主主義は完璧なんだけど、 歴史を振り返って2000年前から国民はずっとバカだったから これからも賢い国民は期待できないらしい。。。 品格ある国(国民)をつくるには、 美しい情緒、高い道徳、自然を敬う心が必要だということ。 数学、理論物理学、文学、芸術、宗教など直接役に立たないものも尊ぶという風土、 そういう層が厚い国が、底力があって、長期的に発展する国だそうです。 マスコミの短期のGDPの伸び率だけの判断は大体外れるとのこと。 教育はすべての基礎になるからぜったい重要、というだけではなく、 国の品格自体が防衛力にもなるのだそうです。 明治維新のときもイギリスやアメリカは日本を植民地にできたけども 江戸の町人たちが、あちこちで本を立ち読みしているのを見て、 「とてもこの国は植民地化できない」とあきらめたのだそうです。 賢い国民は他国の言いなりにはならないということなんでしょう。 数学の独創的な発見には情緒が必要なんだそうです。 その定理や証明が美しいと感じられる感性が大発見につながるんでしょう。 大数学者、岡潔は天皇陛下に「数学とはどういう学問か」と聞かれて、 「数学とは生命の燃焼です」 と答えたそうです。まさに芸術と同じですね! 芸術は得意だけど数学の才能にはまったく見放されたワタシでした(^^;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
September 1, 2008 09:48:46 PM
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