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カテゴリ:鍛練日記
北京も本格的に寒くなって参りました。以前はにぎやかだった広場も気温が下がるにつれて、だれも居なくなってしまいます。 暖かい頃はたくさん武術鍛錬をしている人達をよく見かけますが、寒いと若者達でさえ来なくなってしまいます。 この現象はどの公園でも同じです。 李先生の生徒の幾人かも(中国人)寒いので来ません。 結構中国の人たちは自由気ままに鍛錬するので未だに私はあきれてしまいます。 寒いので鍛錬しない武術ってなんだろう? 二ヶ月ほど前から新しい生徒が入門しました。イギリス人のエリックとアメリカ人のジョンです。 ジョンはとても日本好きでアメリカから持ってきた本がなんと「木の葉隠れ」です。 エリックはまだ殆ど中国語が出来ないので言葉の面では交流がスムーズではありませんが、李先生は外国人の指導経験がとても豊富なので生徒は自然に体に正しい套路をしみこませることができます。 李先生は一度に多くの生徒に指導することを好みませんので、生徒の時間にあわせてはっきり言って一日中指導しています。 生徒の隣で分解動作を何度も模範して見せた後、目の前で何度も何度も動作を繰り返し練習させます。中国武術には「言伝身教」という言葉があります。 武術鍛錬の理想的な鍛錬環境ですが、先生に何度も体に触れてもらい、時には叩かれながら指導、矯正してもらうのはされる方も当然大変ですが、指導者側もとても疲れるので、実践されている先生はとても少ないです。また一度に多くの生徒に指導する場合、見る角度、一度に注意できる生徒の動きにはとても限界があるので、李先生は目の前で一人一人とても細かく指導します。 もちろん生徒の目的や身体能力、経験、健康状態によって指導方法を使い分けます。 陳式太極拳の健康効果は世界中で認識されいますが、李先生の生徒の中にもとても病弱な生徒が健康な体を夢見て入門されています。 毎日薬を服用し、汗をかくことさえ恐れていた生徒も今では血色もよく、体のバランスが少しずつ整ってきたのが自他共に感じることが出来ます。 なにより胸を張って街を歩くようになっています。 套路の完成度を上げるのにとても計画的で、複雑な指導方法を使用します。 初心者、経験者、熟練者では、表現できる能力が当然違います。 初めて套路を覚えて、ある程度鍛錬を繰り返したあと、またはじめから、一から細かく改良して行きます。 たとえば私の場合、現在の「套路、一路」は五回目の改良中です。未だに 「そういうことだったのかぁ」 ときずいたり、見たことも無い細かい動きを要求されることが毎日のようにあります。一年半も毎日のように先生を見ているのに見たことも無いので、 「先生、初めて目にしましたよ、そんな複雑な動きは」 と尋ねると、 「当たり前だろ、初めて見せたんだから。 以前に見せても理解でけんだろうが。まだ他の生徒には教えてないよ。また少し成長したら少しずつ教えてやるよ。」 涼しい顔でそう答えてくれます。 みんなの套路を観察するとき本当に教えていないことが解りました。 そんな底なしに深い指導方法を実践している李先生の少し本気を出した套路を拝見したことがあります。 動きが表現しがたいほど柔らかく、しかし少しもフニャフニャ揺れることが無く、表情にも変化はありませんが目線が鋭く、「関節技」や「ハッケイ」が恐ろしく鋭いので近くで見るとすごく怖いです。一言でまとめると「殺人拳」です。 そんな「殺人拳」を放つ李先生ですが、どうも「犬」が苦手なようで、以前折りたたみ椅子に腰掛けて私の套路を観察しているとき、通行人の子犬がじゃれて李先生に飛び掛りました。李先生は 「うひゃっ」 となさけない声を上げ後ろに倒れてしまいました。 生徒達の環境はそれぞれ違いますし、仕事が忙しく練習時間がなかなか作れない生徒、とても不器用な生徒などいますがなんどもなんども根気良く指導して頂けます。 ただし、言うことを聞かない生徒、礼儀正しくない生徒には 「お前、もう帰れや、もう来なくていい、来ても教えないしな」 と言って相手にしません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.02.09 03:46:28
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