テレビドラマ「パーフェクト・ブルー」第11話(最終話)
TBSテレビ系で12月17日(月)放送の「宮部みゆきミステリー 『パーフェクト・ブルー』」第11話はこの連続テレビドラマの最終話でした。前回のラスト近く、企業の危機管理コンサルタントを請け負っている植田涼子(古手川祐子)と彼女にダーティな仕事を任せている会社幹部の幸田(団時朗)は、蓮見探偵事務所に潜り込ませていた君塚奈々(平山あや)の行動が探偵事務所のメンバーに察知されたと知って蓮見糸子(高橋春織)を誘拐し、探偵事務所の所長の蓮見杏子(財前直見)に電話を掛けて指定の場所に佳代子(瀧本美織)と一緒に来るよう連絡してきます。二人は老犬マサと一緒に指定された倉庫に行きますが、そこで縛られた糸子を発見します。さらに床に縛られて転がされている結城雅之(山崎銀之丞)の姿も目にします。そこに植田涼子と彼女の手下たちが姿を現し、さらに植田涼子の側には君塚奈々もいるのでした。事実を隠蔽するために蓮見親子のみならず結城雅之までも焼き殺そうとする植田涼子にマサが果敢に飛びつきますが、拳銃で撃たれてしまいます。さらに植田涼子は君塚奈々に拳銃を渡して彼女に蓮見親子を殺させようとするのでした……。 倉庫の緊迫した状況で結城雅之が「こいつらは純粋な子供たちを実験道具にしていた」と叫びますが、植田涼子の手下に撃ち殺されてしまいます。さらに植田涼子から蓮見親子を銃殺するよう迫られて躊躇する君塚奈々に、蓮見杏子が「奈々の父親は植田涼子によって無実の罪を着せられて自殺しており、困窮した奈々を仲間に引き込んだのだ」と植田涼子の手口を暴露します。そのため奈々は植田涼子に銃を向けますが、植田涼子の手下たちに撃たれてしまいます。そんなときにBAR「ラ・シーナ」のマスター椎名悠介(寺脇康文)が蓮見親子を救うために諸岡進也(中川大志)と一緒に駆けつけて乱闘になり、さらに刑事の刑事の藤永(渡辺哲)と宮本(水上剣星)も加勢し、植田涼子たちを逮捕してしまいます。銃撃されて傷ついた老犬マサが倉庫から抜け出し、倉庫のシートの一部分の「アサクラ物」を口に咥えてBAR「ラ・シーナ」に戻って来たので、蓮見親子の居場所が分かったのです。 植田涼子たちは逮捕後も蓮見浩一郎(船越英一郎)殺害については口を割りません。またベテラン刑事の藤永も厳しく追求することをしません。それで加代子たちは仕方なく自分たちで「パーフェクトブルー」という謎の言葉が関わっている蓮見浩一郎殺害を調べて行くことにします。加代子たちは調査を継続する中で、パーフェクトブルーとは朝倉製薬という大手薬品会社が新種のドーピング剤で、諸岡克彦たちが少年野球時代に知らないで人体実験に使われていたことを知ります。 さらに加代子たちは今回の事件に隠された悲劇的な真実を知ることになります。結城雅之からドーピング剤による人体実験のことを知らされ脅迫された諸岡克彦(野村周平)が警察に真実を伝えようとしたため、ドーピング問題が絡んだスキンダルとして息子の名声が台無しになることを恐れた克彦の両親の諸岡三郎(近藤芳正)と久子(菊池麻衣子)が反対し、階段でもみ合って克彦が階下に落ち、打ち所が悪くて死んでしまうのですが、人体実験の真実をあくまでも隠蔽したい克彦の両親はとんでもない方法で隠蔽工作を実行していたのでした。 なお、朝倉製薬によるドーピング剤による人体実験の犯罪は植田涼子が固く口を閉ざしているため、物証もないままもみ消されようとします。しかし、蓮見浩一郎が後の証拠としてそのドーピング剤の入った容器を綿で作った骨のオモチャの中に隠していました。なんとその骨のオモチャを老犬マサが口に咥えて佳代子に差し出し、彼女が見つけ出したので朝倉製薬による犯罪事件の全貌も発覚するのでした。 今回の最終回は慌ただしく謎の全貌を解き明かし、事件解決させており、老犬マサの活躍もあまりにも出来すぎており、いささかミステリーとしての謎解きの面白さに欠けていたように思われ残念でした。 なお、私は宮部みゆきのこの『パーフェクト・ブルー』という小説について、拙サイト「やまももの部屋」に「宮部みゆき『パーフェクト・ブルー』に見る大胆な試み」と題してつぎのようなことを書いています。「犬を語り手に設定し、製薬会社の新薬開発競争や入学者獲得をめぐる私立高校間の競争を殺人事件と絡めて展開させるなど、とても野心的なミステリー作品だとは思ったのですが、それまで読んだ宮部作品の中で一番低い評価を与えざるを得ませんでした。特に、メインの諸岡克彦殺害事件に関して、『犯人』の隠蔽工作の方法にどうしても納得がいきませんでした。あの『犯人』にはあんな無惨なことや卑劣なことができるはずがないと思ったのです。意外な『犯人』が語る告白内容に対して、何とも言えぬ後味の悪さを感じてしまいました。」 今回のテレビドラマは原作に対してかなり自由に手直しを加えていますが、諸岡克彦殺害事件こそ一番に大胆で大幅な手直しをしてほしかったですね。 なお、拙サイト「映像化された宮部みゆき作品」に「TBS系テレビドラマ 宮部みゆき『パーフェクト・ブルー』を一つにまとめてアップしましたので、興味がございましたらご覧下さい。