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我思う、ゆえに我あり

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yukie_yo

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December 29, 2007
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カテゴリ:時事
おとといブット元パキスタン首相がアルカイダの一員と思われる自爆テロで暗殺された。アルカイダかどうかは今後の事情追及次第だが、(というより既にそういう風聞が出てしまった時点で後で修正がききにくかろうが)一応アルカイダに動機がある理由は分からなくもない。理由を簡単にいってしまえば、推理小説の定石でいけば、殺人犯人は被害者がいなくなって一番得をする人というが、アルカイダも大いに得をする団体である。

アルカイダは一旦2001年にアフガンから駆逐されたが、泥沼化したイラク問題のせいでアメリカの注意が薄れたころにまたぞろアフガンに戻ってきたようだ。国全体が不安定で中央政府に頼れない状態になる場合、何かしらの形で安全サービスを提供してくれる人が登場する。日本だと昔はやくざ、もっと昔の戦国時代だと大名、清王朝がつぶれた後中華人民共和国ができるまでは軍閥、英語だとWar Lords、などいわれ方は様々だが、やっていることは基本的に同じで、安全サービスと引き換えに金品その他(お金、食料、換金価値の高いもの、女性など)を地域住民が払う。必要悪といってしまえばその通りだが、中央政府がしっかりしない以上、そうした安全サービスを提供できるアルカイダがアフガンに住み着くのはあまりに自然な流れである。それに、アメリカが本腰をいれて対応(カルザイ政権をちゃんと国家として機能させるまでバックアップ)していなくて、カルザイをカブール市長と揶揄されるがままに放置のも、魅力の一つであろうが。

アルカイダに言わせれば、自分の縄張りに親米派、米軍拠点が少なければ少ない方がいいわけで、隣のパキスタンはと見れば、独裁政権への野望をにじませているムシャラフ大統領がアメリカとごたごたをしてくれて、大統領選まで控えているので、パキスタンが親米でなくなる可能性がでてきた。これでも、一応パキスタンはテロとの戦いでアメリカと協力している国であり、パキスタン海軍も日本の自衛隊からインド洋沖で石油をもらっていた。

パキスタン大統領選候補をみて、アメリカが期待できる(一応民主主義という、アメリカが大好きな大義名分を尊重してくれそうで、かつ親米派)有力候補といえばブット元首相である。その人を殺してしまえば、まずアメリカが望む候補がいなくなり、親米派は命あってのものだねだから、声高に親米をいいにくくなるし、運がよければテロへの戦いで事実上脱退してくれるかもしれない。さらに、これを期にパキスタンが弱体化してアフガンみたいになってくれたら、ますます自分の縄張りを拡大できるチャンスにもなる。これは、アフガンにとってもいい。強い隣国よりも弱い隣国の方が好ましいというのが、国際関係の定石の一つ。(もちろん、弱すぎるというのも、また困りものだが。。。)

そう考えていくと、自分の国が何とか立ち行く程度の不安定さだとだめな隣の国って非常に迷惑である。さらに、植民地時代のDivide and Rule(分割統治)が響いてわざと民族分布が複数民族になるように国境を設定し、一か国内の多民族間を仲が悪いように仕向けてあったりすると、自国内でA民族が強くてB民族が劣勢にあるが、不安定な隣の国では状況が逆となると、隣の国のA民族が力をつけるように余計な世話を焼く。となると、ますます隣の国の状況は悪化していく。。。

さらに、始末がおえないのが、このDivide and Rule政策、今のところ有効な解決策が紛争当事者が落ち着いて話し合って、解決しようという強い意志を持つまでは無理。そして、母国は当然のことながら、やり逃げで撤退している。おいおい、ヨーロッパ、何とかしろ、といいたくはなる。

が、最後は当事者にしか解決できない、と思うし、欧米が介入しないで様子見をしていた方が案外解決は早いんじゃないかとも思う。欧米が入ってくるまでは多民族でもお互い仲良く入り乱れて隣近所に住んでいたんだから。例えば、旧ユーゴの、そのモザイクなまでの民族分布は民族移動そのものが非現実的、といわれたほどだ。(一応3分割案、10分割案はでたが、やっぱり無理だった)それは、裏を返せば、それまでみんな仲良く住んでいた、ということだ。

13世紀にできた(中央アジア、中東、東欧などの)知恵が21世紀の(欧米の)知恵にかなわない、という痛烈な皮肉でもある。(括弧をつければ、うなづける部分はある)それは、また、西欧の多民族共存共栄の歴史の浅さ(国単位でみるなら)という経験不足(植民地を持った時代は確かに多民族だったけど、どの民族が一番上かだけははっきりしていたので、あまり役にはたたない)と、欧米からの介入に抗し切れない中央アジア、中東、東欧などの力の弱さの露呈でもある。

お互いの強みを生かせば、世のなかもっとよくなるはずなのに、欧米が強くない人の意見は基本的に聞かないし、ましてや自分の意見よりもいいなんて、そもそも思わない人たちなので、事をどんどんめちゃくちゃにしちゃうし、そういう人たちに限って強かったりするのが、運のツキ、というべきか。

けれど、何とかならないのかねえ、この無邪気なまでの傲慢さ、と結構思います。アメリカなんぞに住んでると。





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Last updated  December 30, 2007 02:08:20 AM
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