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我思う、ゆえに我あり

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yukie_yo

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April 9, 2008
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カテゴリ:時事
今日はノーベル経済学賞受賞者の、スティグリッツ・コロンビア大学教授の講演にいった。先月でたばっかりのThree Trillion Dollar Warという本を売りに。

この本の題名をそのまま訳せば、「3兆ドル戦争」。もちろん、イラク戦争のことをさしている。

国防総省が6600億ドル、米議会は1.6兆ドルと推算しているから、大幅に高い金額だ。

が、さすがスティグリッツ。政府は過小評価しすぎだと指摘する。

何が違うのか?せこい!と思うまでにブッシュ政権が最小に戦費を計算している、といわれても仕方がない部分もあるし、微妙だね、という部分もある。

何がせこいか、というと、例えば、とスティグリッツはいう。イラクの市内の見回りに米軍の車(戦車でも、何でも)が事前に仕掛けられた爆発物に触れて爆発。これは攻撃とみなされる。が、大概車は一台ではないわけで、二台目以降は当然すぐにはとまれないから、追突して一緒に炎上したとする。

と、ブッシュ政権はどう計算するか?最初の一台分は戦争による喪失として計算するけど、二台目以降は交通事故扱いする。

んなわけないじゃん。十分戦争による喪失じゃん。

戦死者は想定外で行った戦争。当然ながら戦死者はでるわけで、そして積み立てていないから当然ながら、補正予算を組む。そして、これは、戦費に計算されない。

負傷者の数も違う。さっきの二台目以降の車両に乗っていた負傷者は事故扱いで治療代も当然ながら別扱い。なので、政府公表数字では頼りにならなくて、戦争負傷者ケアセンターなどからようやく本当の数字がでてくる。

さらに、今回の戦争では、開始前からとにかく安くあがる戦争だ、イラクの石油収入でチャラだ、なんてウォルセヴィッツなどネオコンたちはほざいていた。

そんな事情もあって、とりあえず戦費は低く報告せよ、と徹底されていたのだろう。なので、戦費の多くはチェイニー副大統領が以前CEOをやっていたハリバートンなどの請負業者にがんがん流れ、肝心の兵士たちにはろくすっぽ設備が支給されていなかった。少なくてもラムズフェルド元長官の時代には。ようやくゲイツの時代になって、イラクに駐在する将校たちには爆発物に耐久できる車両が支給されるようになった。

もし、最初からそうした装甲車を支給していたら、犠牲者はもっと低く抑えられたろう、そして戦費も。

そして、請負業者は、当然ながらイラクの治安などはどうでもよくて、利潤最大化が目的。なので、もらうだけもらっておいて、ろくなサービスを提供しようとしない。(なので、平気で無抵抗の一般市民を殺害したり、拷問をかけたり、とますますイラクを物騒にすることばかりしている。あげくには、過剰請求までして、議会が指摘していたのに、国防総省は期日どおり全額払った。そのおかげで、その年に引退予定の将校たちはいい天下り先にありつけたことでしょう。)

もちろん、2004-6年くらいまでは毎日のように米兵が何人死んだと報道されていたから、米軍はリクルーティングに非常に苦労する。一時期、今月は何とか目標達成だ、と喜んでいたり、今月はまじでやばい、とか言われていた。

当然志願する人を探すのは難しいから、仕方がない、給料を上げる。イラクに派遣されている兵士たちには、危険特別手当やらボーナスやらが支給される。

こうした値上げ分は戦費に含まれない。だが、これぞまさにイラク・プレミアムではないか?

さらに、現金主義を使っているので、通常の企業が使う発生主義ではない。ということは、起こりうるリスク(戦死者、負傷者へのケア代、武器・防具などの破損など)を見積もって積立金、引当金をたてていないことになる。そうして、低く金額を最初は見せられても、後で大きな代償を払わざるを得ない。

まあ、ここらまではうなづける。

けど、石油価格の上昇の一部まで加算したりすると、微妙だよね、という気はする。確かに、イラク戦争は大きな要因のはずだ。が、中国などが急激に大量にかい出したため、アジアプレミアムもまた発生しているし、その他の理由もあるし、はっきりとここまで、と決めうちするのは難しいと思う。

とはいえ、ブッシュ政権がせこく、ちまちま低く計算できるだけした、金額に真っ向から違うと経済学の大物が物言いをする勇気はすばらしい。(どこぞの国だと御用学者になることを喜んでいる、おめでたい方々がおおかろうに)

そして、そうした再計算に要した情報を入手するのは非常に難しかったろう。本人もそれは認めている。(まあ、何人もスタッフを雇ったんだろうけどさ)

そこで、スティグリッツがいう。民主主義は定期的に選挙をすることだけではない。国民が自分たちの納めた税金がどのように使われているかを知る権利も含まれている。

いい言葉ですねえ。けれど、ひそかに、アメリカの憲法に知る権利はどこにも記されていない、と豪語していた、大学院時代のインテリジェンスの先生が言っていたのを思い出したが。

さらに、スティグリッツはいいことを言っていた。イラク戦費を正確に計算する必要性は、イラク戦争が安い、というなれば、次の政権も次の戦争を始めることに対して安易に決断するかもしれない。そういうことがおきないように、しっかりと正確な戦費を計算して世に知らしめる必要がある。

ほんと、ほんと。戦争はバーゲンじゃないんだから。

でも、さすがノーベル賞をとっているだけあって、非常に噛み砕いて説明してくれていた。薄っぺらい専門家は、難解な言葉を並べ立てて、聴衆を煙に巻いてえらそうにする。そんなのをありがたがる必要はない。本当に優秀な専門家は、素人がわかるように本質を噛み砕いて説明できる人をいう。

すっかり気に入って、本を買ってサインしてもらいましたグッド





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Last updated  April 9, 2008 02:04:39 PM
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