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ゆきよきの言語学・夏目漱石・日本史

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2013年12月02日
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カテゴリ:学び方・振り返り
(4)人間とは何かを分かるための学びを実践した

 前回は、西洋哲学を概観する学びとして、三平えり子『聴くだけ倫理』及び岩崎武雄『西洋哲学史』への学びを振り返った。特に後者については、一定の視点でもって哲学史を論じていることは把握できたが、後半以降の難解な展開についても何とか一般的な理解ができるようになっておくことが来年に向けた課題である。

 さて今回は、11月の目標の3つ目である、人間とは何かを分かるための学びについて振り返っていきたい。

 11月には山崎豊子『華麗なる一族(中)』を読んだ。物語は、阪神銀行頭取の万俵大介が大蔵大臣の永田と会食をし、第三銀行と平和銀行との合併について話し合う場面からである。万俵としては、自行より上位の銀行同士の合併で、自行の立場がより悪くなるとともに、「小が大を食らう」合併を目指して狙いを第三銀行に定めていただけに、是非とも阻止しなければならない合併であった。また、永田大臣としても、政敵である田淵幹事長の資金パイプをみすみす大きくする合併には反対でありながらも、大蔵大臣として金融再編成を進める立場から、公然と反対しづらい立場で苦々しく思っていた合併案であった。

 第三銀行の副頭取の女性関係の不祥事をリークすることで、両者の利害が一致し、なんとか合併を阻止した万俵だが、第三銀行に続く「大」銀行を模索し、合併による生き残りを模索し続けるのであった。大蔵省や日本銀行に情報網を張り巡らし、次の一手を貪欲に探るうちに、大同銀行に内紛があることを察知し、ここに目を付けるのであった。

 一方、大介の長男である鉄平の阪神特殊鋼は、大口取引先のアメリカンベアリング社から取引停止を宣告され、折からの不況とダンピングによる特殊鋼業界全体の凋落から資金繰りに苦しんでいた。アメリカ留学時代に交友があり、日銀理事から大同銀行頭取に着任していた三雲に依頼し、何とか苦境を脱していたものの、株価も下落を続け、またもや大同銀行に頼って、株保有率も上積みを依頼していたのであった。三雲も鉄平の熱意に押され、高炉建設でコスト削減に向う阪神特殊鋼に賭けていたのであった。

 他にも、二女の二子が好まざる縁談に巻き込まれたり、二男の銀平の妻万樹子が5ヶ月の胎児を流産したりと、万俵家を取り巻く環境に様々な変化が生じてくる。なかでも、阪神特殊鋼の高炉建設現場で爆発事故が起きたことが最も印象的だった。心身ともに疲労しきった鉄平を見はなすがごとくの大介の発言や、それにもめげずに高炉建設再建に情熱を燃やし続ける鉄平をしり目に、阪神特殊鋼の株価が一層下落する場面でこの巻が終了する。

 大同銀行が阪神銀行に食われるのか、阪神特殊鋼の運命は、はたまた二子の結婚話はどうなるのか、全体の状況を冷静に判断しているように見える大介が勝つのか、情熱一途に高炉建設を展望する鉄平が巻き返すのか、政官財を書き込む壮絶な展開が、高度経済成長へと向かう近代日本の状況と複雑に絡み合って、「矛盾の複合体」たる社会状況が展開していく。最終巻の結末はいったいどうなるのか、まだまだ楽しみである。





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最終更新日  2013年12月02日 16時01分01秒
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ガラスの玉は、本物の真珠をきどるとき、はじめてニセモノとなる。

政治の分野であろうと学問の分野であろうと、革命的な仕事にたずさわる人たちは道のないところを進んでいく。時にはほこりだらけや泥だらけの野原を横切り、あるいは沼地や密林をとおりぬけていく。あやまった方向へ行きかけて仲間に注意されることもあれば、つまずいて倒れたために傷をこしらえることもあろう。これらは大なり小なり、誰もがさけられないことである。真の革命家はそれをすこしも恐れなかった。われわれも恐れてはならない。ほこりだらけになったり、靴をよごしたり、傷を受けたりすることをいやがる者は、道に志すのをやめるがよい。

孤独を恐れ孤独を拒否してはならない。名誉ある孤独、誇るべき孤独のなかでたたかうとき、そこに訪れてくる味方との間にこそ、もっとも深くもっともかたいむすびつきと協力が生まれるであろう。また、一時の孤独をもおそれず、孤独の苦しみに耐える力を与えてくれるものは、自分のとらえたものが深い真実でありこの真実が万人のために奉仕するという確信であり、さらにこの真実を受けとって自分の正しさを理解し自分の味方になってくれる人間がかならずあらわれるにちがいないという確信である。

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