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ゆきよきの言語学・夏目漱石・日本史

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2016年06月02日
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カテゴリ:学び方・振り返り
(3)言語学の学び

 第2に、言語学関連の学びについて、R.H.ロウビンズ『言語学史』、ミルカ・イヴィッチ『言語学の流れ』の比較言語学の箇所、風間喜代三『言語学の誕生―比較言語学小史』、高津春繁『比較言語学入門』の概要部分の学びに関して振り返っていく。

 まず、『言語学史』、『言語学の流れ』の比較言語学の箇所に関してである。両著作によって、まず、比較言語学の大きな流れが把握できたことが良かったと思う。サンスクリットの「発見」から、グリム、シュライヒャーなどを経て、青年文法学派において、音韻法則に例外なしといわれるまでに研究が発展していった過程を押さえることができた。また、19世紀の特徴として、「個々の言語特有の事実から帰納的に文法法則を求めるべきである」(『言語学の流れ』p.31)という主張がなされていたことも分かり、ここから「比較言語学誕生の歴史的必然性を問う」において、経験主義的・実証主義的研究方法の台頭という論を展開することになっていったのであった。さらに、これは裏を返せば、認識論的な実力の幼さに規定された流れであったのではないかという着想を得て、これも小論で展開できた。

 次に、『言語学の誕生』の概要部分の学びについてである。ここでは、比較言語学誕生の直接的な契機となったジョーンズの講演が多くの人々を引きつけたことに関して、「その言葉をうけとめる側にそれなりのバックがあった」「それは時代の気運というべきもので」(p.18)あることが述べられていた。この記述をヒントにして、当時の時代背景について、論文でも一般的に押さえておかなければならないと思った次第である。また、論文では直接触れることはできなかったが、19世紀当時は、「伝統的な古い観念」(p.31)、つまり「ラテン文法にみる記述的、規範的な研究」(p.42)から脱却して、客観的な事実の探求がなされたのだと述べられているのも興味深かった。中世期の言語研究のあり方の特徴をこの記述から捉えることができるのではないか。

 『比較言語学入門』の概要部分にも、同様のことが説かれていた。つまり、比較言語学の誕生により、「言語の研究は従来の哲学や論理学の絆から解放された」(p.42)と述べられていて、どちらかといえば、言語を哲学的に、論理学的に把握し、記述的、規範的に研究するという従来の言語研究が批判的に捉えられていると感じた。従来の言語研究の対象は、「あるべき姿の言語であって、言語そのものではない」(p.15)のであって、「言語の有する感情的・目的論的性質を度外視したもの」(p.16)だというのである。この「目的論的性質」とはどういうことか、いまいちよく分からなかったが、要は、私の言葉でいえば、言語そのものではなくて言語規範が研究対象であったことへの批判だということになると思う。これはこれでもっともなことを述べてはいるが、「言語のあるがままの姿」「言語の実際」(p.16)を追求していくのだという比較言語学の方向性は、これまでの伝統であった共通性を括っていくという学問本来のやり方が、実力不足のために放棄され、目に見える区別のみに着目していったものだともいえるのではないか、などと考えたりもした。





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最終更新日  2016年06月02日 16時16分03秒
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ガラスの玉は、本物の真珠をきどるとき、はじめてニセモノとなる。

政治の分野であろうと学問の分野であろうと、革命的な仕事にたずさわる人たちは道のないところを進んでいく。時にはほこりだらけや泥だらけの野原を横切り、あるいは沼地や密林をとおりぬけていく。あやまった方向へ行きかけて仲間に注意されることもあれば、つまずいて倒れたために傷をこしらえることもあろう。これらは大なり小なり、誰もがさけられないことである。真の革命家はそれをすこしも恐れなかった。われわれも恐れてはならない。ほこりだらけになったり、靴をよごしたり、傷を受けたりすることをいやがる者は、道に志すのをやめるがよい。

孤独を恐れ孤独を拒否してはならない。名誉ある孤独、誇るべき孤独のなかでたたかうとき、そこに訪れてくる味方との間にこそ、もっとも深くもっともかたいむすびつきと協力が生まれるであろう。また、一時の孤独をもおそれず、孤独の苦しみに耐える力を与えてくれるものは、自分のとらえたものが深い真実でありこの真実が万人のために奉仕するという確信であり、さらにこの真実を受けとって自分の正しさを理解し自分の味方になってくれる人間がかならずあらわれるにちがいないという確信である。

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