テーマ:暮らしを楽しむ(384562)
カテゴリ:☆落窪物語 少し簡略化した訳で
![]() 今回は、落窪の姫のお世話をする「あこぎ」の恋人「帯刀(たちわき)」が出てくるところからですよ。 <落窪物語 第一巻 その2> そうこうしているうちに、三の君の婿となった蔵人の少将に仕えている「帯刀」という気の利いた家来が、「あこぎ」のことを見初めて、うまく手紙を届け、二人は手紙をやりとりするようになり、年を越してついに無事に結ばれました。 二人が、いっそう仲睦まじくなり、あこぎの部屋に泊まることも多くなったので、二人は寄り添っていろんな話をするうちに、「落窪の姫」のこと話しました。 あこぎは、涙ながらに 「なんとかして、立派な人に姫を盗んで(親に無断で結婚すること)もらいたいものです。」 「あんなに素晴らしい方なのに、本当に惜しいことです。」と、明け暮れ言い、思いもします。 さて、この帯刀の母親は、左大将の息子の右近の少将の乳母だったのですが、この少将はまだ妻がなかったので、身分の高い人の姫君のことなどを聞いているときに、帯刀が落窪の姫の話をしました。(注1) それが耳にとまった少将が、人がいないときに詳しく話をさせて 「気の毒に、姫君はどうお思いだろう、皇族の血統の方なのだね、私をひそかに通わせてくれ。」 とおっしゃいました。 帯刀が、 「今はまだ結婚のことなど夢にも考えてらっしゃらないでしょうが、そのうちに、話をしておきましょう。」と答えると、 「入れに入れよかし。離れてはた住むなれば(すぐに姫君に合わせてくれ、家族と離れて暮らしているのなら、簡単なことだろう)。」 とおっしゃる。 帯刀があこぎに少将の気持ちを話すと 「今はまだ、そんなこと夢にも考えてらっしゃらないでしょう。そのうえ、少将様は大変な色好みだとお聞きしていますのに。」といって、とりあわない。 でも帯刀が残念がっているようなので、 「しょうがないわね、そのうちにお話してみましょう。」 と答えました。(注2) (注1) 当時は、身分のある人の赤ん坊は、母親ではなく、乳母の乳で育てられていました。乳の出る女性ですから、当然、乳母にも赤ん坊がいます。その赤ん坊は、身分ある人と同じ乳で育つので「乳兄弟」と呼ばれ、実の兄弟を守るように、そのお子様を守り従うように育てられました。それで、普通の家臣よりも関係が深く、友情をもった主従関係が生まれます。 帯刀にとって、右近の少将は、そんな特別な関係の人だったわけで、だからこそ、愛する妻「あこぎ」に頼まれた姫のことを、少将に聞かせたのでした。 (注2) 帯刀は、困っています。あこぎが姫の将来を心配していたから、姫のことを少将に話し、それで逢わせる手筈を整えようとあこぎに話したのに、あこぎがとりあってくれない。もし無理に少将を連れてくると、あこぎが自分を嫌ってしまうのではないか。不安になったでしょうね。 でも、これはあこぎの機転です。本当は(やった!!)と喜びたいところです。でも、そんな様子を見せると、少将に軽く見られてしまうので、わざとそっけないそぶりをしてみせたのですね。 さて、次は、少将からのアプローチですよ。何度も何度も、がんばります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.10.03 17:17:56
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